冬を乗り切るために.. 保湿のしくみ by 林 伸和 先生
今回は、冬のスキンケアについてお話します。
肌の乾燥は、一番表面にある角質でおこります。水分は角質の細胞の中や、細胞と細胞の間に貯えられています。
角質の外には皮脂があり、中には水分が簡単には外に出て行かないようになっています。
角質の細胞の中では、天然保湿因子(Natural Moisture Factor : N M F)とよばれるアミノ酸や尿素などが水分を貯えてくれます。
細胞と細胞の間には、角質細胞間脂質の1つであるセラミドという物質があり、セラミドが水分を抱え込むようにして貯えています。
皮膚の乾燥は、皮脂の分泌が不足に加えて、湿度が低下し、さらに、天然保湿因子やセラミドが上手く働かないためにおこります。
では、乾燥した皮膚をしっとりさせるにはどうすればよいでしょうか。一番簡単な方法は、外から補うことです。
ハンドクリームのような油脂は、皮脂を補うものです。油脂をぬることは最も安価で簡単な方法です。ただ、実際には難点があります。
顔に使うには、べた付くため塗心地が悪いのです。
また、ニキビや吹き出物の悪化も懸念されます。このため、最近ではヒアルロン酸(天然保湿因子の働きをする)を含有する化粧水が販売されるようになりました。
ヒアルロン酸は、高価ですが、水分の保持能が強く、しっとりとする時間が長く続きます。
また、水溶性のため油分を使わずに保湿ができるので、大人のニキビの方には最適です。
特に、ニキビやシミに対してケミカルピーリングを受けている方には、ヒアルロン酸入りのビタミンCのローションをお薦めします。
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ご自宅でのスキンケアとしてクリニック製化粧品もご紹介しております。
林 伸和
1989年東京大学医学部卒業後、東京大学皮膚科に入局。
1993年より米国マイアミ大学に留学。
帰国後東京女子医科大学皮膚科講師を経て、現在准教授を務める。
専門分野はざ瘡(ニキビ)、レーザー治療。
イデリア スキンクリニック代官山では水曜日に林先生の診察を受けることができる。