レーザー

シミをレーザーで治す際に知っておきたいこと

海外ドラマなどでは、女性がレーザー治療を受けた帰り道で顔に絆創膏を貼ったまま街を歩くシーンが時々見られます。日本ではちょっと想像しにくいですが、欧米ではシミのレーザー治療は比較的盛んに行われており、日常会話の中でも「昨日レーザー治療を受けたばかりだからお呼ばれは遠慮するわ」などのセリフが普通に聞かれるほどです。
欧米ほどではありませんが、日本国内でもシミを美容医療で治すことはそれほど珍しくなくなっています。この記事では、シミのレーザー治療について費用・効能・注意点などの面からご紹介しましょう。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■レーザー治療はどんなシミに効く?

皮膚にできるシミの種類は、1つだけではありません。シミの種類に応じて、レーザー治療が効きやすいものと効きにくいものが存在しますから、あらかじめ予備知識として知っておけばクリニックを訪ねたときのカウンセリングもスムーズでしょう。ここでは、シミの種類別にレーザー治療との相性についてご説明します。(※医学的にはシミではないものも含まれます)

【レーザー治療がよく効くシミ】

1. 日光性(老人性)色素斑
加齢や紫外線のダメージなどが肌に蓄積し、メラニン色素が過多な状態になって発生する、いわゆる「老化によるシミ」です。顔の他にも、太陽光を普段から浴びやすい手の甲などにできやすいシミです。

2.脂漏性角化症(老人性イボ)
いわゆる「老人性イボ」と呼ばれるもので、シミが盛り上がってできたものです。加齢によって発生しやすくなりますが、稀に若い年代からできやすい人もいます。放置すると大きくなる事があります。

3.雀卵斑(ソバカス)
10代頃から頬から鼻にかけて出現する、ポツポツとした小さなシミです。紫外線を浴びることで濃くなりやすくなったり、数が増えてしまったりする点が特徴。遺伝の影響が大きな原因といわれます。

4.太田母斑
出生時から思春期までの年代に多くあらわれる色素斑、目の周囲などが青っぽくくすんだような状態になりやすいことが特徴です。原因はまだ不明ですが、現状ではメラニン色素の生成に関する先天的な異常ではないかと考えられており、レーザー治療を受ける際には健康保険が適用されます

【一般にはレーザー治療が効きにくいとされるシミ】

1.肝斑
30~40代の女性に多く見られ広範囲にできる薄いシミで、頬骨の上などにぼんやりと広がるように左右対称であらわれます。まだ原因は特定されていませんが女性ホルモンのバランスが関わっていると予測されており、60代を迎える頃にはほぼ消えてしまうことが特徴です。一般的にレーザー治療は効きにくいシミとされ、内服薬での治療が最も有効といわれています。ただし近年では「肝斑に効果的」とうたっているレーザー治療機器も新たに登場しているため、今後は肝斑へのレーザー治療も積極的に行われるようになると考えられています。

2.炎症性色素沈着
ニキビ跡や虫刺されの跡、アトピー性皮膚炎の治癒後などにあらわれやすいシミで、外部からの刺激によって皮膚が炎症を起こし、防御反応でメラニン色素が増加することが原因です。レーザーでは治療しにくいため、外用薬などで炎症を抑えながらメラニンの増加を防ぐ治療法が一般的です。しかし、最近のレーザー治療機器ではこの炎症性色素沈着の治療も可能となったものが増え、「レーザーとの相性が良くない」というイメージは次第に払拭されつつあります。

■シミのレーザー治療にかかる費用や、治療の流れについて

レーザーでシミ取りをするというと、かなりの費用がかかるというイメージがあります。しかし現在ではレーザー機器の普及や治療技術の進歩に伴い、ひと昔前と比較するとかなりリーズナブルにシミ治療ができるようになりました。たとえば、初診料・再診料は別途となりますが、3mm程度までの小さなシミなら1箇所1,000円、5mm程度までなら10,000円など、分かりやすい治療費の設定をしているクリニックが増えています。
次に、レーザーでのシミ治療の開始~完了までの流れをご紹介します。

【1.来院~カウンセリング】
まずクリニックを訪ね、シミの状態や種類などについてカウンセリングをします。診察を経て診断が確定し、レーザー治療が適切なシミと判断されると治療に移ります。

【2.レーザー照射による治療】
シミの部分にレーザーを照射して治療を行います。以前のレーザー機器は長時間照射をするため痛みを伴いましたが、現在では一瞬だけで照射が完了するものが主流となり、輪ゴムを勢いよく当てられたぐらいの痛みが少しあるだけです。

【3.治療後のダウンタイム】
美容医療も通常の治療と同様に、治療後一定期間は安静にする必要のある「ダウンタイム」があります。レーザー治療の後は患部がかさぶた状になるため、テープを貼って最低3日間ほどは患部に刺激を与えないよう気をつけましょう。その後、かさぶた状の部分は1週間ほどで自然に剥がれますが、引き続き皮膚が敏感になっている状態ですから紫外線を浴びるとまたシミになる可能性があります。治療後半年ぐらいはなるべく日光を直接当てないようにし、いつも以上に紫外線対策に配慮しましょう。また、治療して10日ほどは汗をたくさんかくと治療部位にしみることがあります。刺激を避けるためにも、向こう10日間ぐらいは激しい運動やサウナなどを避けましょう。

■レーザー治療を受ける際の注意点

日本人は欧米人と比較してメラニン色素が多くなる傾向にあるため、レーザー治療後に炎症後色素沈着を起こすことがあります。ほてりやヒリヒリ感などの自覚症状だけなら外用薬などで対処できますが、炎症性色素沈着が一時的に出た場合は「シミを取ったのに再発したのでは?」と誤解しがちです。レーザーによる炎症の症状はダウンタイム中のケアを適切に行えば回復しますから、処方薬などが出たらきちんと使用して治療後のケアも正しくしましょう。

【2.かさぶた部分が気になっても、できるだけ触らない】 かさぶたができると、気にならない人はあまりいないはず。レーザー治療後のかさぶたもきになってつい触ってしまうという方がいるかもしれません。しかし、かさぶたが自然に剥がれる前に触ることで完全に治癒しないまま剥がれる可能性があります。特に、治療後3日間は患部をテープやガーゼで保護し、安静に保ちましょう。

【3.シミは再発することがあるため、紫外線には要注意】 レーザーによるシミ治療は、シミを2度と作らなくできるものではありません。あくまで多くなったメラニン色素に作用するものですから、紫外線の影響を再び受ければまたシミになる可能性はあります。特に治療後の皮膚は敏感になっているため、紫外線を絶対に直接は当てないぐらいの気持ちで対策を行いましょう。

【4.治療を受けるスケジュールは慎重に検討する】 レーザー治療は、治療後のアフターケアも大切です。紫外線が強くなる時期や、汗をかきやすくなる時期を極力避けて治療を受けるよう計画を立てると、治療箇所へ刺激を与えてしまうリスクも減らせるでしょう。一般に、10月から3月にかけての時期が紫外線も弱くなり、かく汗も少なく抑えられるためレーザー治療におすすめのシーズンとされています。

■おわりに

この記事では、シミ治療を考えている方ならあらかじめ知りたいレーザー治療の基礎知識や、治療前後の注意点などをご紹介しました。
シミの種類に応じて、適切な治療法が変わってくることもあります。まずはお気軽にクリニックを訪ねてカウンセリングを受け、ご自分のシミがどのような性質のものでレーザー治療に向いているかどうかを判断してもらうとよいでしょう。

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