洗顔とシミの関係をチェック! お肌を清潔に保ちながらシミを防ぐには?

最近、化粧品関係のWebサイトなどで「石鹸洗顔でシミを消せる」などの広告をよく見かける機会がありますね。ひと目見て「そんなはずない!」と思った方も多いかもしれません。しかし、実際に「洗顔でシミを消す」ということが可能なのでしょうか。
そこでこの記事では、「洗顔」と「シミ」という、あまり取り上げられない2つの要素の関連性についてご紹介します。本当に洗顔でシミを改善できるのか、そしてシミを悪化させない洗顔の方法はあるのか、気になっている方はぜひ参考にしてください。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 院長
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 昭和大学病院皮膚科兼任講師
  • 日本抗加齢医学会認定 抗加齢医学専門医
佐治 なぎさ先生

■「洗顔でシミが消せる」って本当?

「シミを取る驚異の洗顔石鹸!」「○○さんが愛用するシミ取り石鹸!」などの広告を、インターネット上などで実際に目にした方もいるでしょう。「いやいや、そんなに簡単にシミは取れるものじゃないよ」と、実際にシミのお悩みを抱えている方なら思ったかもしれませんね。
みなさまのお考えどおり、シミを洗顔で取れるかどうかと言えばさすがにそれは難しいでしょう。ただし、お肌のメカニズム的には「洗顔の見直しによって、シミをできにくくし、悪化もさせないことは不可能ではない」とは言えるかもしれません。
皮膚は28日周期を目安につねに生まれ変わっており、メラニン色素が多くつくられることで発生するシミや色ムラの箇所も、基本的には肌の生まれ変わりで代謝されます。メラニンを作り出すはたらきを抑えながら、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を正常に整えれば、シミを薄くできる可能性があり予防にもつながるでしょう。
しかし、年齢とともにターンオーバーも乱れがちになるもの。メラニンの生成が過剰な状態を解消するほど完璧なターンオーバーを期待することは難しく、長年蓄積された紫外線の悪影響によって新たなシミも作り出されてしまいます。
美白効果が期待できるとうたっている洗顔料は、「肌表面の古い角質を取り除く」という作用を指摘しているものが多数でしょう。しかし残念ながら、角質ケアだけでシミを改善することは基本的に不可能だと考えられます。
洗顔料の感想として「シミを取る」とうたうことにはそもそも感心できないとも言えます。「角質ケアをしっかり行うことで、シミの発生・悪化を防げるかもしれない」という程度の効果なら期待できるものと考えるのが適切でしょう。

■シミの悪化を防ぐ洗顔方法を押さえておこう

石鹸や洗顔料でシミを消すことはできませんが、洗顔方法を誤るとシミを増やしたり、悪化させたりしてしまう可能性はあります。「洗顔なんてただ洗うだけだし、それほど気を遣わなくても良いのでは?」と侮っていると、後でしっぺ返しを食らってしまうかもしれません。

【洗顔でできるシミ予防1】とにかく刺激を避けて洗うこと
シミの原因としては紫外線や乾燥、年齢による皮膚のおとろえなどが挙げられますが、いずれも「外部からの刺激」または「刺激からの防御ができなくなること」がシミの根本要因です。
洗顔のときに顔を必要以上にゴシゴシこすってしまうことも「肌への強い刺激」ですから、できるだけ避けましょう。シミやくすみ、色ムラなどメラニン要因の肌トラブルすべての予防策において、「こすらない」ことは大前提と考えてくださいね。泡立つタイプの洗顔料をお使いなら、きちんと泡立てて洗顔料がクッションになるように使うことも大切です。

【洗顔でできるシミ予防2】タオルで顔をこすっちゃダメ!
洗顔後の水分ふき取りも、肌にやさしく行いましょう。サッとふき取れれば気持ちが良いからと、タオルでつい肌をゴシゴシしてしまう方も多いかもしれません。
しかし、洗顔での刺激と同様にタオルの刺激もシミの大敵。やさしく洗顔できたからと安心せず、ふき取りにも気を遣いましょう。タオルは肌の上で動かさず、そっと押さえて水分を吸わせる感覚でふき取って。タオルの素材もゴワゴワしない天然素材など、肌に刺激を極力与えないものを選ぶと良いでしょう。

【洗顔でできるシミ予防3】何はなくとも、洗顔したらすぐ保湿!
洗顔後、「なんとなく面倒だから」「疲れているから」と、すぐに化粧水などでのお手入れをせず放っておくことは厳禁!
洗顔後は、肌の水分が奪われてうるおいを求めている状態。目に見える乾燥やつっぱり感がなくても、放っておくとどんどん乾燥が進み、さらに肌を刺激に弱い状態にしてしまいます。「洗顔したらすぐに保湿」は、うるおいケアにとどまらずシミ予防にも重要なことなのです。

シミは老化や紫外線だけでなく、肌への直接的な刺激も大きな原因となります。洗顔は「手で顔に触れ、タオルで顔を拭く」というダブルの刺激を毎日加えることになるもの。「こすらない、押さえすぎない」という2大鉄則を守って、肌に極力やさしく行いましょう。
しかし、「刺激になるから洗顔は控えよう」というのも問題。肌に汚れ=異物が残ったままの状態も、大きな刺激になります。お肌を清潔に保つことは美肌の大原則ですから、刺激を避けたいばかりに極端に走らないよう気をつけましょう……。

■シミを防ぐには、清潔・丁寧にもうひと手間プラス

洗顔でシミを予防し、悪化を防ぐには「お肌を清潔に保つ」ことと「丁寧に洗う」ことが何より大切。しかし、それをしっかり実行していればシミの発生が100%防げるということもないのが現実ですね。悲しいですが、気持ちを切り替えてより積極的にケアに務めることを考えてみましょう。
シミが気になる方なら、「治療でシミが治ること」をご存じの方も多いでしょう。知名度の高い治療法と言えば「レーザー治療」などではないでしょうか。しかし、レーザーよりおだやかで効果的な治療法の選択でもシミの状態によっては改善が可能です。

【シミの治療法その1】ケミカルピーリング
化粧品などにも「ピーリング作用」があるとうたうものがありますが、美容医療でのピーリング効果は確実。薬剤を使っておだやかに肌表面の古い角質を除去し、加齢や刺激によって乱れがちなターンオーバーを正常に整えていく方法です。薄い初期のシミであれば、この方法で継続的に治療することで治療できる場合も。
皮膚に美白成分を効果的に与える「イオン導入」が併用できるため、ビタミンC誘導体でのシミ治療が同時にできるというメリットもあります。

【シミの治療法その2】レーザー治療
海外ドラマに登場するキャリアウーマンの、「今レーザー治療の帰りなの」というセリフを聞いてビックリした方も多いはず。しかし、現代のレーザーによるシミ治療はそれだけ安全性が高く、リーズナブルであると考えると納得でしょう。
「レーザーで火傷」というリスクの心配も、最新のレーザー治療ではかなり抑えられています。シミの部位にだけ反応して光を当てる方法で治療できますから、より無駄なく効果的なシミ改善が見込めるようになっています。

■おわりに

この記事では、シミと洗顔の本当の関係やシミを予防する洗顔法、そして気になるシミを治す最新の方法についてご紹介しました。
「洗顔でシミが消えるわけないよ!」と、あきらめていた方も、シミを悪化させないライフスタイルや積極的にシミを消す治療などを再検討してみては? 現代のシミ治療は、ひと昔前よりかなりハードルが低くなっています。シミをつくらないための毎日の洗顔をしっかり行い、シミ改善に向けてプラスワンの治療を加えれば、お肌も見違えるようにクリアになって明るい表情で過ごせるかもしれません。

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