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シミはクリームで改善できる?有効成分や効果的な使い方をご紹介

シミが気になり始めると、市販の美容クリームを選ぶときにも「シミに効果的」とうたった商品がつい目についてしまうもの。しかし、せっかく選ぶなら成分やそのはたらきに関する知識をしっかり押さえてご自分に合ったクリームを探せるといいですね。
そこで今回は、シミの予防・改善効果が望めるクリーム選びについて、その有効成分を中心にご紹介します。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■シミへの効果が期待できる有効成分のいろいろ

「シミ予防」「シミを薄くする」とうたったクリームは、ドラッグストアや化粧品専門店のほか、最近は通販化粧品などでも実に豊富に出回っています。それらには、シミへの予防・改善効果が期待できるとされている有効成分が含まれています。ここでは、市販のクリーム(化粧品・医薬部外品)に主に含まれる「美白作用」に関連する有効成分についていくつかご紹介します。

【1.ビタミンC誘導体】
ビタミンCは、シミを防ぐほか肌の弾力回復や老化予防にも効果的といわれている、いわば「美肌の万能成分」。化粧品や医薬部外品に配合される場合は、劣化しにくく肌の角質層に浸透してからビタミンCに変化する「ビタミンC誘導体」という物質で加えられています。
ビタミンCの美白作用は、主にその「抗酸化作用」によって発揮されます。ビタミンC誘導体が角質層へ浸透してビタミンCに変化するとその強い抗酸化作用によって、皮膚でメラニン色素を作り出す酵素「チロシナーゼ」のはたらきを抑えます。さらにビタミンCが持つ「還元作用」によって、すでにできてしまったシミのメラニン色素を薄くするはたらきも期待されています。
ビタミンC誘導体には、肌への吸収が早く即効性が期待できる「水溶性ビタミンC誘導体」、水溶性ビタミンC誘導体の3倍もの浸透性が期待できるとされる「脂溶性ビタミンC誘導体」、そして水溶性・脂溶性の両方の性質を兼ね備えた「新型ビタミンC誘導体」の、主に3種類があります。クリームに配合されるビタミンC誘導体は、油分に溶けやすい「脂溶性ビタミンC誘導体」である場合が多くなっています。

【2.アルブチン】
梨などの果物から発見された美白有効成分で、皮膚でメラニン色素を作り出す酵素「チロシナーゼ」のはたらきを抑制する作用でシミの発生を予防できるとされています。皮膚に吸収されると、医療用に用いられる美白成分「ハイドロキノン」と似た作用を発揮するとされますが、その効果の度合いはかなり穏やかです。皮膚への刺激もハイドロキノンと比較すればかなり少ないとされるため、主にシミの予防目的で用いられるケースが主流です。

【3.トラネキサム酸】
近年、多くの化粧品や医薬部外品に配合される機会が増えた美白有効成分です。皮膚の細胞内でメラニンを作り出す器官「メラノサイト」への、メラニン生成を促す情報伝達をブロックするはたらきを持ち、シミの予防に有効とされています。紫外線の影響によるシミに加え、女性のホルモンバランスによって一定の年代で発生するシミ「肝斑」の予防効果もあることが良く知られています。

これ以外にも「プラセンタエキス」「コウジ酸」「カモミラET」など多くの美白有効成分を配合した化粧品が出回っていますが、いずれも化粧品や市販の医薬部外品に配合される度合いはごく少量となり、「できてしまったシミに効果がある」というよりは「これからできるシミを防いで増やさない」作用を期待して使用するのが得策といえるでしょう。ちなみに、今回ご紹介した美白有効成分の中で「メラニンの還元作用」を持ち、できてしまったシミにも効果を発揮できるとされているのは「ビタミンC誘導体」のみです。

■市販のシミ予防クリームを使用する際の注意点

市販の化粧品・医薬部外品で「シミに良い」とされるクリームには、実に多くの種類があります。配合されている有効成分とその作用を確認して使用することはもちろんですが、その他にも「美白化粧品」のクリームを使用する際には注意点があります。

【1.化粧品・医薬部外品のクリームは基本的に「シミ予防目的」と考える】
化粧品や医薬部外品として市販されているクリームは、基本的にはこれからできるシミを防ぐ「予防目的」が主であると考えましょう。もし市販品の中で、すでにできたシミに作用するクリームがあるとすれば「ビタミンC誘導体」を配合しているものですが、その配合比率などによっても効果の程度は変わります。「○%配合」などと配合比率を明記した商品を選ぶことと、可能であればその比率が高いものを選ぶことがシミ対策のポイントです。
ただし、比較的肌に穏やかといわれるビタミンC誘導体でも、その配合比率が高くなれば肌が敏感な方にとっては刺激につながる場合も。必ずサンプルで試すなどして、肌に刺激がないか確かめてから使用を検討しましょう。

【2.シミができてしまう前から積極的にケアを始めると効果的】
先にご紹介した通り、市販品の美白クリームの多くは「シミ予防」が主目的となります。そのため、もし本格的にシミ予防を考える場合には、シミができてしまう前から積極的に美白ケアとして取り入れることが予防効果をさらに高めるポイントです。
「まだシミは気になっていない」という状況でも、今後のシミ予防を考えて市販品の美白クリームを取り入れることには何ら問題ありません。5年後・10年後の肌を考えた先手先手のお手入れを検討しましょう。
ただし、「美白ケア」を目的とした化粧品・医薬部外品の中には、保湿効果が比較的低いものも多くあることが現状です。パッケージの説明や店頭販売員さんのアドバイスを参考に「美白ケアもできて保湿効果も高い」とされるクリームを選ぶことが、トータルな美肌対策として大切になるでしょう。

【3.気になり始めたシミには、日常のケアに加え「美容医療」で攻めのケアを!】
しっかり予防をしていても、シミができてしまう可能性はゼロではありません。もし、シミができて気になり始めたときには「美容医療」の力を借りて「今あるシミをなくしていく」ケアも取り入れることを考えるとよいでしょう。
美容医療で用いられる「メラニン還元作用」を持つ美白成分の代表的なものが「ハイドロキノン」です。ハイドロキノンは、メラニン色素そのものに働きかけて色素を薄くするはたらきを持っているため、使い続けることで気になっていたシミの淡色化を実現できます。同様の還元作用を持つビタミンC誘導体と比較しても効果が強力なため、基本的にはクリニックでの診断後に処方してもらうべきものです。レーザー治療などの施術でシミを取ることに抵抗を感じている方や、時間がかかってもできるだけ負担のない方法でシミをしっかり治したいと考えている方も、選択しやすいおすすめの治療法といえるでしょう。

■シミをさらに前向きに改善する医療用クリームとは

すでに目立ってしまったシミも「ハイドロキノン」の力で改善できるクリーム(軟膏)は、美容クリニックでの診断によって処方されます。基本的にシミ治療は自由診療となるため健康保険の適用対象外ではありますが、施術を伴う治療法と比較すればかかる費用は抑えられます。時間をかけても治療費を抑えてシミを直すことを考えているなら、良い選択となるはず。
なお、美容クリニックで処方されるハイドロキノン軟膏はかなり強い美白効果を持っているため、医師の診察を継続的に受けながら使用しなければなりません。もし刺激を感じたり、肌に合わないと感じたりした場合には、使用を中止する必要が出てくる場合があります。いずれにせよ、医師の診断のもとに使用するべきものであることを念頭において使用を検討しましょう。また、クリニックでの診断いかんではレーザーなどの施術を伴うシミ治療と、ハイドロキノン外用剤を併用することも可能です。

■おわりに

この記事では、美白効果を持つ市販のクリームの選び方や、一歩進んだ攻めの美白ケアができる美容医療による外用薬を用いた治療法についてご紹介しました。シミを防ぐにはまず日頃のお手入れが大切ですし、もちろん日常から紫外線を浴びる機会を減らすことも重要。それでもシミができてしまったら、早めにクリニックでの治療を検討しましょう。

クリニックで処方されるハイドロキノン軟膏の詳細はこちら

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