シミを除去できる方法にはどんなものがある?再発や副作用は心配ない?

シミが気になりはじめたら、紫外線予防や美白ケアでなんとか悪化しないよう、対策している方も多いでしょう。しかし、日焼け止めや美白化粧品だけで、すでにできてしまったシミを取り除くのはむずかしいものです。
そこでこの記事では、シミの種類やそれらに合ったシミの除去法(消し方)についてご紹介します。今あるシミは今から消したい!と思っている方は、ぜひご参考にしてください。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 院長
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 昭和大学病院皮膚科兼任講師
  • 日本抗加齢医学会認定 抗加齢医学専門医
佐治 なぎさ先生

■シミの種類と除去法について

【1.老人性色素斑】
「加齢によるシミ」「老人シミ」と呼ばれるもので、年齢にともなって顔や手の甲などにあらわれる、代表的なシミです。原因はおもに長年紫外線の悪影響を受け続けたことによるメラニン沈着とされており、40代以降から発生するケースが一般的です。しかし、紫外線の浴び方の程度によって症状には個人差があるため、早い場合は20代後半から出ることもあります。頬の高い部分や額など、紫外線の影響を直接受けやすい箇所がシミになりやすいという特徴があります。

【2.ソバカス(雀卵斑)】
鼻筋から頬の内側にかけての部分に、細かく沢山広がる褐色の斑点のようなシミです。子供のころからある人が多く、老人シミとは異なり遺伝の影響を受けやすいという特徴があります。しかし、紫外線を多く浴びることでさらに濃くなる可能性があるため、注意が必要です。

【3.太田母斑】
額や頬骨の位置など、おもに顔の片側にあらわれる青あざのようなシミです。乳幼児から思春期までの間に発症することが多く、女性に多いことが特徴です。原因は今のところ不明ですが、皮膚科によるレーザー治療で治すことができます。シミ治療は基本的に保険適用外ですが、太田母斑の治療については例外的に健康保険が適用されます。

【4.ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)】
太田母斑とよく似た、頬骨を中心に広がるようにあらわれるシミです。20代~30代で発症することが多く、太田母斑と異なるのは発症年代のほか、顔の両側に左右対称にできる特性を持っている点です。
ただし、実は遅発性片側性太田母斑様色素斑(ABNOM)という片側性のADMもあるので、すべてのケースで左右対称に発生するとは限らないことには注意が必要です。なお、ADMも太田母斑と同様、シミ治療を受けるときには健康保険が適用されます。

【5.肝斑】
頬骨や目の下などに、ぼんやり左右対称にあらわれる褐色~灰褐色のシミです。もともとの微細な刺激に対して色素が沈着しやすい肌質に加えて、ホルモンバランスの変化が影響するといわれ、30代半ばから40代にかけての女性に多いシミです。また、50歳を過ぎて閉経するころには消えることが多いといわれています。一般的なシミ治療とは異なる治療法が必要になる場合もあり、今あるシミが肝斑かどうかの診断によって治療法が変わることがあります。

【シミ治療法にはどんな種類がある?】
シミ治療といえば「レーザー照射」や「塗り薬による治療」を思い浮かべる方が多いかと思います。特にレーザー治療は上記でご紹介したほとんどのシミに効果的ですが、肝斑の場合に限っては効きにくいことも。肝斑を治すには、トラネキサム酸やビタミンCの内服による治療をおこなう場合が主流です。最近では肝斑に効果があるとうたったレーザー治療も登場していますが、一般的には肝斑の場合、慎重に治療することが必要です。

いずれにせよ、シミを治療するときには「どんなシミなのか」を診断することが大いに重要です。その診断結果いかんで、最適な治療法が異なってくるからです。信頼できるクリニックに相談し、安心な治療法を選定することが大切であることは、他の美容医療と同様といえます。

■シミを除去したあと、再発することはある?

インターネットなどでシミ治療について検索すると「レーザーでシミを取ったのにまた出てきた」「シミ治療をしたのに再発した」などの書き込みがみられることがあります。実際に、シミを消したのにまた発症してしまうことはあるのでしょうか。

基本的には、レーザー治療で除去したシミが同じ場所・形・大きさで再発する可能性はきわめて低いといわれています。しかし、一方で日本人のような黄色人種は強い刺激を受けたあとの炎症後に色素沈着を起こしやすいタイプの肌質と言われています。この状態が、「シミが再発したのでは?」と、混同されている可能性があります。
治療をしたのにまた出てきたように見えるシミは、シミにレーザー光を照射した時に肌表面におこる炎症の影響で、「炎症性色素沈着」と呼ばれる一時的な反応によってあらわれてしまう色ムラを指します。
一般的に日本人にレーザー治療をした場合、3~4割程度は一度のレーザー照射でシミが消えますが、3~4割程度はこの炎症後色素沈着を起こす可能性があるといわれています。また、残りの2割程度は照射しても変化が乏しいケースもあり得ます。
とはいえ、この炎症後色素沈着のリスクを可能な限り減らす手段はあります。一番は治療後の敏感な皮膚を「刺激しない」ことです。
特に大事なのは、レーザー照射直後にできるかさぶたをご自身ではがさず、自然に剥がれ落ちるまで可能な限り保護することです。また、かさぶたが剥がれた後のピンク色の皮膚はもっとも敏感な状態にあるため、この状態のときにもこすったりせず、メイクや洗顔のときにもやさしく手で触れる程度にしましょう。
もちろん、紫外線予防も大事なので、日焼け止めを毎日しっかり使うことがポイントです。
多くの場合この炎症後色素沈着は、こうした適切な対処をしていれば半年程度で徐々に薄くなってくるといわれています。

・シミ治療であらわれる副作用とその予防法
シミを治療で除去する場合、たいていの治療法で肌に多少の刺激をともないます。レーザー治療の場合、術後数日間は肌に赤みが出ることがありますし、塗り薬での治療も敏感肌の方は刺激を感じる場合があります。
これらの副作用を防ぐには、以下の点に気をつけて治療を受けるようにしましょう。

1.正しい診断と適切な治療法のアドバイスをしてくれる、信頼できる医師に治療を受ける
2.治療後は医師の指導を守り、アフターケアを適切におこなう

もともと敏感肌の方なら、合った治療法を受けることで副作用のリスクを減らせます。また、術後のケアを正しくおこなわないことで発症する副作用もあるため、アドバイスを聞いてそれを守った肌のお手入れをすることも大切でしょう。

■おすすめのシミ除去法は?

できたばかりの薄く小さなシミは、塗り薬やケミカルピーリングなどの外用治療で改善できる場合もあります。美容クリニックで処方される外用薬には「レチノイン酸」「ハイドロキノン」「高濃度ビタミンC」などがあり、肌の状態やシミの程度・性質などに合わせて処方されます。
さらにシミが濃く大きくなり、外科的なシミ除去を考える必要がある場合には、レーザー治療をおこないます。最近のレーザー治療機器は、シミなどで色の濃くなった部分だけを選択して照射でき、誤照射の心配のない安全性が高いものが主流となっています。1度で除去しきれない場合は複数回の治療を繰り返す場合もありますが、多くの方は1.5~4か月ほどで効果を実感できるとされています

■おわりに

この記事では、シミやシミ治療法の種類や特徴、副作用の可能性などシミ除去に関するさまざまなことを、くわしくご説明しました。
シミがあるだけでご自身に自信が持てなくなることもありますし、「歳をとってから消える」といわれる種類のシミだとしても「できるなら今消したい」と考えるのは自然なことです。シミを消す治療は美容医療の一環ですが、整形手術などのように大がかりで高額な費用をともなう治療法とは異なります。きちんと医師に相談し、合った治療法を選定すればシミは改善できるので、シミのお悩みを抱えているなら1度クリニックを訪ね、お悩みについて相談の機会を設けてはいかがでしょうか。