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化粧品でシワを改善?どう選んで、どう使うか

シワの原因は複数あり、シワのでき方にもいくつかのパターンがあります。「シワを予防する」「シワを改善する」と謳った化粧品・薬用化粧品は非常に多くの数が出回っていますが、種類が豊富なだけに、ご自分に合ったシワ対策選びは難しいもの。
この記事では、化粧品でシワ対策をする場合の選定方法や、化粧品で対処しきれないときの一歩進んだ対策法についてご紹介します。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■シワを物理的に伸ばすor隠す!一時的に対策するなら

結婚式や同窓会などのお呼ばれの席で、もし久しぶりに会った人に「老けたなぁ」と思われてしまったら切ないものです。今あるシワを、その日だけなんとかして消したい・隠したいと思う機会は、この先きっと何度か訪れるはず。
そんなときに便利なのが「シワを隠す・一時的に伸ばす」機能を持った化粧品。ここでは、それらの化粧品の効果や使い方について詳しくご説明します。

【1.シワを隠す化粧品】
シワ隠し用化粧品は、主に光拡散効果でシワの影を飛ばして目立たなくするはたらきや、フィルター状の被膜でぼかして目立たなくする作用などを用いたものが中心です。ファンデーションや化粧下地で「シワを隠す」と謳っているものは、主にこれらの手法を利用しています。

【2.シワを伸ばすコスメツール】
シワを伸ばして目立たなくするものは、主に透明・半透明のテープが中心。それらを、こめかみや額などに貼ってシワ部分の皮膚を物理的に引っ張り、目立たなくする手法を取っています。メイクをした上からでも使え、効果は半日~1日ぐらい持続します。

【3.お手持ちの化粧品だけでシワ隠しメイク!】
急いでいるときなど、シワ隠しコスメを買っている時間がない場合もあるでしょう。お手持ちの化粧品や化粧道具だけでも、ある程度シワが目立たなくできるかもしれません。活用するのは、液状またはクリーム状のハイライトとフェイスパウダー。
目元のシワをお化粧で目立たなくしたいときは、ファンデーションを目の下にだけつけないようにし、目の下から目尻の下にかけては代わりに白っぽいハイライトを入れます。次に、周囲のファンデーションと境界線ができないよう、ブラシやスポンジで境目をぼかしてからフェイスパウダーを乗せて自然に仕上げてください。
このメイク法で注意する点は、シワの部分や目の下にはファンデーションをなるべくつけないこと。シワにファンデーションの粒子が入り込んでヨレやすくなりますし、シワによる目の下の影が余計に目立ってしまいます。

一時的に対策するなら、上記でご紹介した3つの対処法を試してみると良いでしょう。ただし、テープを貼ってシワを伸ばす方法はあまり多用しないほうが無難です。何度も同じ位置にテープを貼ることで皮膚が伸びた状態が癖になってしまい、たるみにつながる可能性があるからです。
また、これらの方法はあくまで一時的に対処するにとどまりますから、根本的にシワを改善できるものではありません。素顔の見た目年齢を引き下げたいと考えているなら、さらに一歩進んだ対策を検討するのがおすすめです。

■スキンケアでシワ対策はほんとうにできる?

「シワに良い」「シワを防ぐ」と謳ったスキンケア化粧品は沢山あります。しかし、スキンケアでシワ対策をするなら、ご自分のシワのタイプや原因をよく知り、合った化粧品を選んで正しく使わなければなりません。ここでは、シワの種類別に適したスキンケア化粧品の選び方をご紹介します。

【1.乾燥肌に多い、浅いシワ(小ジワ)】
比較的若い世代から増えがちなのが、肌の乾燥によってできる浅く細かいシワ。できやすい箇所は、主に目の周りになります。これらの「小ジワ」は、皮膚の角質層に必要な水分が不足してしまうことが原因で発生します。したがって、角質層にうるおいをしっかりと補うことで、改善できる可能性があります。
小ジワに有効なうるおい成分は、主に「セラミド」「NMF(天然保湿因子)」などです。特にセラミドは乾燥によって乱れがちな角質層のバリア機能を正常に整える性質があるため、世代を問わず積極的に補うことが大切です。小ジワ対策のためにスキンケア化粧品を使う際には、これらの成分を確かめて製品を選ぶようにしましょう。

【2.指で伸ばしても消えない、深いシワ(真皮ジワ)】
小ジワの進行などでできる深いシワは、エイジング世代の深刻な悩みのひとつ。原因は長年にわたって紫外線の悪影響を受けることや、加齢によって真皮でつくられる弾力成分「コラーゲン」「エラスチン」の減少が進んでしまうためとされています。
スキンケア化粧品で深いシワを改善することは、現実的には難しいといわれています。コラーゲンやエラスチンを化粧品で補っても、分子が大きく真皮までは浸透していきません。そこで、真皮でのコラーゲン産生を促す「ビタミンC誘導体」や、細胞を活性化させてターンオーバーを整える「レチノール(ビタミンA)」を配合したスキンケア化粧品が、真皮ジワにも有効と謳われるケースが増えました。ただし、シワに関するスキンケア化粧品の研究・開発は現在のところ発展途上の段階にあります。それらの製品も、実際のところは角質層由来の小ジワへの効能が主とされ、化粧品で真皮ジワを改善できるという確証が得られたものは、まだないといってよいでしょう。

■表情筋の方向を意識しよう

これまではメイクやスキンケアなど、外からシワのお悩みにアプローチする方法を提案してきました。しかし、それだけでは改善が見込めない深刻なシワのお悩みを抱えた人が多いことも事実です。ここでは、美容医療によるシワ対策やその特徴についてご紹介します。
美容医療を一般的なものにした手法として、大がかりな切開などを伴わない「プチ整形」がよく知られています。しかし、プチ整形と聞いて「二重まぶたにする治療」などを思い浮かべる方は多いものの、シワを治すプチ整形があることはそれほど知られていません。
シワを改善するプチ整形は、主に以下の2つの手法があります。

【ボトックス】
ボツリヌストキシンと呼ばれるたんぱく質の一種を注入して筋肉の動きを抑制し、表情ジワを改善します。

【ヒアルロン酸注入】
シワの部分に、安全性が高く副作用の少ないヒアルロン酸を注入して皮膚を盛り上げます。

いずれの方法も、ダウンタイム(術後に通常の生活に戻れるまでの期間)がほとんどなく身体への負担が最小限な上に、施術を受けたことが他人に知られにくいというメリットがあります。また、大がかりな整形手術と比較すれば施術にかかるコストも比較的少なく、数年おきにメンテナンスすることで効果を持続させられるなどの特長が挙げられます。
ただし、美容医療全般にいえることですが、施術する医師の技術に仕上がりが左右されやすい点には注意が必要です。未熟な医師に任せてしまったことで、せっかく施術を受けたのに満足な仕上がりにならないというケースは少なくありません。また、治療する部位によっては、ボトックスとヒアルロン酸注入のどちらが適しているかも異なってくる場合があります。
プチ整形だからといって安易に考えず、医師の実績や技術、術前のカウンセリングや治療法の提案などがしっかりしたクリニックを選んで治療を受けることが大切です。

美容医療を検討するならこちら

■おわりに

この記事では、シワをメイクでカバーする方法やシワに効果的なスキンケア、それらでも改善の難しい深刻なシワのお悩みに対する美容医療の提案についてご紹介しました。
シワ対策には、なんといっても早期の取り組みが肝心。まだ浅い小ジワのうちなら、スキンケアで進行を防げる可能性もあります。もし、スキンケアやメイクなどでも対処しきれないシワが目立ってきてしまったら、思ったよりもローコストできちんとした治療が受けられる、クリニックでのプチ整形を検討してみましょう。

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