伸ばし

間違った方法は逆効果!?正しいマッサージでシワを伸ばそう

見た目の第一印象を決める顔のシワは、できれば無くしたいもの。シワを伸ばすための対策として、自己流でマッサージをしている方も多いのではないでしょうか。
ところが、間違った方法でマッサージを続けた場合、シワが無くなるどころか増えてしまったり、深くなってしまったりする可能性があります。
そこで、この記事ではシワになりやすい3つの部位を中心に、マッサージのポイントや注意点をご紹介します。普段のマッサージ方法と比較しながら、参考にしてみてくださいね。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■マッサージはどんなシワにも効果があるの?

シワができる原因は、主に「表情の癖」「加齢」「乾燥」「紫外線ダメージ」の4つが考えられます。
「表情の癖」によるシワとは、口元を歪ませたり眉間にシワを寄せたりするなど、無意識のうちにしてしまう表情の癖が皮膚に残りやすくなったものです。このタイプのシワには、表情の癖を無くすほか、定着したシワをほぐすためのマッサージが効果的だと考えられています。
「加齢」によるシワは、加齢にともなう肌の老化や、表情筋の低下によってできたもので、主にほうれい線や目元のたるみなど、年齢を感じさせるシワがこれに当てはまります。このタイプのシワは、肌にハリを与えるためのエイジングケアや、たるんだ肌を持ち上げるマッサージ、表情筋のエクササイズによって効果が期待できます。
一方、「乾燥」「紫外線ダメージ」によって肌に負担がかかりシワになった場合には、マッサージではなく、肌を保湿するスキンケアや、小まめな日焼け対策をするとよいでしょう。
このように、ひとくちにシワと言っても原因や対策方法は様々です。ご自分のシワの原因に合ったケアをすることが重要だといえるでしょう。

■自己流のマッサージは逆効果?

多くの方が間違いやすいマッサージ方法として、「肌にクリーム類を塗らずにおこなう」「強い力でおこなう」「リンパの流れを意識していない」などがあります。
たとえば、「マッサージをしているつもりで肌をこすっている」「シワを伸ばそうと、肌をピンと引っ張り上げる」「テレビを見ながら何となく適当にマッサージしている」などの経験はありませんか?
肌が乾燥した状態や強い力でマッサージをおこなうと、摩擦によって肌に負担がかかり、かえってシワが増えてしまう原因になります。また、顔にあるリンパの流れや筋肉の方向を意識せずにおこなうと、流れに逆らうことで皮膚が伸びてたるみ、結果としてシワが深くなってしまうこともあります。

セルフマッサージをおこなうときは、
・摩擦が起こりにくいよう、マッサージクリームを塗る
・肌に負担をかけないよう、優しくおこなう
・リンパの流れや、表情筋の方向に沿っておこなう
これら3つのポイントを押さえて、正しい方法を心がけましょう。

■リンパの流れを意識しよう

私たちの体内あるアンモニアや二酸化炭素、皮脂などの老廃物を排泄してくれる液体を「リンパ液」といいます。リンパ液は、全身にすみずみまで細かく張り巡らされている「リンパ管」に流れており、リンパ管には「リンパ節」と呼ばれる中継地点が600~800箇所ほどもあります。普段よく耳にする「リンパ」とは、これらを総称したものです。
老廃物が溜まって流れが滞ると、むくみやたるみの原因となり、ほうれい線などシワにつながる場合もあるため、マッサージをするときにはリンパの流れに沿って老廃物を流すイメージでおこなうことが大切です。
顔に張り巡らされている全てのリンパ管を意識することは難しいですが、「顔の中心から外側へ」「顔から首へ」「首から鎖骨へ」の3つの流れを意識してマッサージをすることで、老廃物の滞りを防ぐことができます。

■表情筋の方向を意識しよう

顔には表情筋と呼ばれる筋肉があり、眉や頬、口など様々な部位を動かして表情を作り出しています。同じ筋肉ばかり使っていると皮膚の形状記憶によりシワが残りやすく、反対に、使っていない筋肉があると表情筋の筋力が低下し、たるみによるシワの原因になると考えられています。
表情筋は大小合わせて30種類以上もありますが、今回はその中から意識しやすい主な表情筋を5つご紹介します。マッサージをするときには、それぞれの筋肉の方向に沿ってほぐすとよいでしょう。

・前頭筋(ぜんとうきん)
眉上から額全体にかけて縦に伸びている筋肉で、眉を上下に動かす役割があります。

・眼輪筋(がんりんきん)
目の周囲に位置し、目の開閉運動を担います。

・頬筋(きょうきん)
上顎の関節から口角にかけて発達している筋肉で、口角を上げる働きをします。

・口輪筋(こうりんきん)
口の周囲にある筋肉で、口元の表情を作る動きを担います。

・笑筋(しょうきん)
口元から左右の頬にかけて発達している筋肉で、微笑んだ表情やえくぼを作ります。

■シワ伸ばし対策・口元編

口元にシワができる主な原因は、乾燥や表情の癖、また、加齢などによる表情筋の老化が考えられます。乾燥が原因の場合は保湿などスキンケアが大切ですが、表情の癖や表情筋の老化が原因の場合には、口周りの筋肉を優しくほぐすマッサージのほか、表情筋を鍛えるため、次のようなエクササイズを取り入れるとよいでしょう。

・口を大きく開けて舌を出したまま20秒キープする
・口を大きく開けて「ア、イ、ウ、エ、オ」とひと文字ずつはっきりと口を動かす
・舌を出して上下左右に動かし、慣れてきたら上から順に時計回りに回す

頬筋や笑筋、口輪筋など、口周りの筋肉を使えているかどうか確認しながら、ゆっくりとおこなうのがポイントです。また、口を大きく開けたときに眉間やおでこにシワが寄らないように意識しましょう。

■シワ伸ばし対策・目元編

目元にシワができる主な原因は、アイメイクによる肌への負担や、パソコンなど電子機器の長時間の使用による眼精疲労が考えられ、年齢に関わらずシワができやすい部位であるといえます。
目元のシワを伸ばすには、目の周りを囲んでいる眼輪筋をほぐすマッサージがオススメです。両手の指を揃え、頬の上あたり、こめかみ、眉上、目頭と、眼輪筋に沿って優しくほぐします。目の周りは皮膚が薄くデリケートですので、マッサージをするときは特に優しくおこないましょう。
また、目の下のたるみがシワになってしまう可能性もあるため、そのたるみを防ぐエクササイズとして、目線を上下左右にぐるりと回す方法も良いといわれています。目の動きに合わせて眉が上がるとおでこにシワができてしまうので、お気をつけくださいね。

■シワ伸ばし対策・おでこ編

おでこにシワができる主な原因は、紫外線ダメージや乾燥による肌への負担、表情の癖が考えられます。肌への負担が大きい場合は普段のスキンケアが大切ですが、眉の上げ下げなど表情の癖が原因の場合は、マッサージが効果的だといわれています。
おでこのシワを伸ばすには、前頭筋をほぐすマッサージがオススメです。目を閉じて少しうつむき加減になり、両手の指先を眉の上に置きましょう。ちょうど両手で顔を覆っているようなイメージです。
そのまま頭頂部に向かって指を少しずつずらしながら、指先で筋肉をほぐしていきます。前頭筋は顔の中でも広い範囲の筋肉なので、眉上から頭頂部まで幅広くおこなうことがポイントです。

■おわりに

今回は、シワを伸ばすマッサージのポイントをご紹介しました。普段の何気ない表情や癖には、大小様々な表情筋が関係しています。その表情筋や、顔に流れているリンパの方向を意識することが、正しいマッサージの第一歩です。ぜひ毎日のお手入れに取り入れてみてくださいね。

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