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シワに効果的なクリーム選び。「シワ取りクリーム」でシワは消える?

年齢とともに気になってしまう肌のお悩みといえば顔のシワ。乾燥肌に多いちりめんジワや小ジワから、加齢によって深く刻まれてしまったシワまで、シワにもさまざまな種類や程度があります。
今回は、シワが気になり始めると試したくなる「シワに効果的なクリーム」についてご紹介します。「シワが改善される」と謳われているクリームは本当に効果があるのか、より効果的にシワ対策ができるクリーム選びの方法などを説明しますので、ぜひご参考にしてください。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■「シワに良いクリーム」はどんな成分でできているの?

「シワに効果的」という謳い文句で市販されているクリームは数多くあります。しかし、化粧品は効能を明確に謳って販売することができないため「シワが治る」という但し書きや広告宣伝もできませんし、実際にすべてのシワに効果があるといいきれる化粧品はまずないでしょう。
ただし、乾燥肌が原因でできてしまう「ちりめんジワ」などの薄く小さなシワや、肌が突っ張ったように乾いたときに目に付く小ジワ程度なら、クリームで目立たなくすることは不可能ではありません。一般的に「エイジングケアクリーム」や「小ジワ対策クリーム」などと銘打っている製品のなかには、乾燥による小ジワを目立たなくできるものもあるでしょう。
乾燥小ジワ対策を謳ったクリームには、主に「コラーゲン」、「ヒアルロン酸」、「ビタミンC誘導体」、「レチノール(ビタミンA)」などの有効成分が含まれています。コラーゲンやヒアルロン酸は保湿成分、ビタミンC誘導体やレチノールはターンオーバーを促す成分です。うるおいを与えたり、乱れた肌の生まれ変わり作用を正常に整えたりすることにより、乾燥による小ジワを目立たなくするというメカニズムが想定できます。
また、光を拡散させるパウダーなどを配合して、視覚作用でシワをカバーするシワ対策クリームもあります。こちらは肌に働きかける改善作用ではなく、外見的にシワを見せないメイクアップ効果を与えるものですから、シワそのものの対策にはなりません。しかし、化粧下地などとして活用すれば気になるシワをほぼカバーできる場合もありますから、日常的にメイクをする方であれば取り入れる価値はあるかもしれません

■シワそのものを薄くできるクリームはある?

前の項目では、「小ジワを目立たなくする」「シワをカバーして気付かせない」ことを目的としたクリームについて主にご紹介しました。しかし、小ジワではなく加齢や表情による癖で顔に刻まれてしまったシワは、クリームで対策することができるのでしょうか。
現状のところの正解は、「1度できたシワはクリームでは消せない」という解答と、「ただし、気になり始めたシワならこれ以上悪化させないため、クリームでのお手入れが有効である」という解答の2通りがあるといえるでしょう。「シワ取りクリーム」といわれている化粧品でも、実際にシワが取れるわけではなく「悪化を予防できる」「保湿効果で弾力を与えて多少のカバーはできる」という効果が中心になるでしょう。
最近では、シワ改善効果が認められた成分を含むとされた医薬部外品扱いのクリームも少しずつ出回り始めているようです。しかし基本的には、「化粧品として市販されているシワ用クリームは、実際にはシワを消すことはできないけれど、悪化の予防や保湿の効果はある」と考えてよさそうです。

■シワは「悪目立ち」している場合も。その対策は?

仕事や家事・育児などでとても身体が疲れていたり、寝不足だったりするタイミングで「シワが急に目立ってきた」と感じた経験はありませんか?もしかすると、実際にシワが深くなっているというよりも、疲れや体調が肌のくすみとして顔にあらわれ、同時に肌荒れも起こしてしまうことでシワを余計に目立たせている可能性もあります。
身体の疲れなどは肌荒れや乾燥になって表面化することも多いですから、クリームなどでシワのお手入れをすることと並行して、生活習慣や食生活の改善を行うことも大切です。肌そのものが内側からの影響で荒れてしまっていれば、どんなに良質なクリームを使ってもそのメリットを最大限に生かすことができません。
「クリームでシワのお手入れをする」「良質な睡眠をしっかりとる」「栄養バランスの良い食事を1日3食に分けてきちんと食べる」の3つを毎日実行することで、肌の明るさやツヤ・透明感が戻ってきて、急激に気になり始めた小ジワもそのうち悪目立ちしなくなるかもしれません。

■シワを改善する塗り薬がある!?

ここまでは、化粧品や薬用化粧品のクリームが持つシワへの効果についてご紹介してきました。しかし、シワ用のクリームには化粧品だけでなく「塗り薬」があるとご存じでしたか?シワ用の塗り薬は医薬品ですから、病院・クリニックで医師に処方してもらうことでのみ入手が可能です。また、美容目的で処方してもらう場合は健康保険扱いとはなりませんから、実費での購入となります。
シワを治療する塗り薬は「レチノイン酸」が主成分です。レチノイン酸は「ビタミンA誘導体」とも呼ばれ、肌に塗るとビタミンAに変わる性質を持っています。ビタミンAそのものは食物やサプリメントから摂ることができますが、過剰摂取すると重大な副作用が起こってしまいます。そこで、肌の一部分にビタミンAを効果的に与える方法として外用薬が用いられるようになりました。
レチノイン酸の主な作用は、加齢や体調の影響で乱れがちな皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)を正常にするはたらきです。肌表面がきちんと生まれ変わることで不要な角質が溜まらなくなり、まずは肌のキメが整う効果やたるみによる毛穴が目立たなくなる効果を実感できます。さらに長期間継続使用すると、肌再生のサイクルが整ってシワが気になりにくくなるといわれています。
レチノイン酸は医薬品として使用されるだけに、成分としてのはたらきは強めです。そのため、肌が敏感な方や肌荒れがひどい方には刺激が強めになるかもしれません。角質を除去するピーリング作用があるため、肌の弱い方は赤味やひりつきなどの副作用を感じる可能性もあります。また、妊婦さんは必ずビタミンAの摂取を控えるように言われますが、同様にビタミンA誘導体であるレチノイン酸の外用も出産までは行えませんから注意しましょう。
現在では、レチノイン酸による副作用を極力減らすため、さまざまな濃度のクリームが選べるようになっています。肌が弱っている方や敏感肌の方は濃度の薄いクリームから試すこともできますし、使ううちに刺激を感じにくくなれば濃度を徐々に濃くしていくなど段階的な治療も選択できます。
化粧品でのお手入れに限界を感じ始めた方や、確かなシワへの効果を実感したい方などは、外用薬による治療も一案として検討してみるとよいでしょう。

■おわりに

この記事では、化粧品から医薬品までさまざまな種類の「シワ用クリーム」の効果や成分、それぞれの使用方法についてご紹介しました。
小ジワの改善やシワ予防には化粧品のクリームも効果的ですが、シワのお悩みの程度がそれ以上の場合には、美容クリニックでの皮膚科治療を選択肢として加えることも有用です。体調や肌の調子を確かめながら、入念なカウンセリングのうえ最適な治療法を提案してもらえますから、以下のような治療薬を取り入れる方法も検討してみてはいかがでしょうか。

レチノイン酸

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