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オイルでシワが防げる? 正しいオイル美容とは

スキンケア用品(基礎化粧品)で、オイルによるお手入れが取り入れられるようになったのは、比較的最近のことです。それまでは、ニキビや毛穴詰まりの原因になるとして油分主体のスキンケアはあまり歓迎されない傾向にありました。しかし今では、肌表面に適度な油膜が維持されていてこそ、トラブルの少ない肌を保てることを多くの方がご存じかと思います。
今回は、シワのセルフケアに用いるスキンケア用オイルについてご紹介しましょう。シワに効果的といわれるオイルの種類や、それらの最適な使い方などについてくわしく説明していきます。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■シワに効果的な「美容オイル」とその使い方

スキンケア用の美容オイルも、正しくお手入れに取り入れてこそ肌のコンディションアップにつなげられるもの。ここでは、スキンケアとして用いられているオイルの正しい使い方や使用上の注意点などをご紹介します。

・オイルは「スキンケアの1番初め」につけることが基本
油分を多く含むスキンケア品といえば乳液やクリームのイメージが強く、それらは「うるおいを補ったあとにフタをする」という目的で、お手入れステップの後半で使用することが一般的。そのため、美容オイルも最後につけるものと思い込んでいる方も多いのでは?
美容オイルの場合は乳液やクリームと異なり、洗顔後(スキンケアの1番最初)につける使い方が主流になっています。洗顔をすると肌の油分がほとんど取り去られ、一時的にですが皮脂膜に覆われた通常の肌状態ではなくなってしまいます。実は、化粧水などの水分がもっとも浸透しやすくなるのは、肌が油分を適度に含んで柔らかい状態であるとき。洗顔後すぐに化粧水をつけても、肌を構成する主要成分であるたんぱく質が逆に水分をはじいてしまう可能性もあるのです。
そこで、化粧水などをつける前の土台作りとして、ごく少量のオイルを肌になじませることでお手入れの効果を底上げしてあげましょう。オイルがしっかりと浸透した皮膚は、水分をはじきにくくなり化粧水などもしっかり浸透します。「オイルを使い始めて、乾燥が原因の小ジワが目立たなくなった」という声もよく聞かれますが、オイルの作用で必要なうるおいを効率よく肌に与えられるようになったことも一因でしょう。
また、お手入れ前にオイルをつけてから化粧水をなじませたあと、もう1度オイルを少量肌になじませて乳液やクリームと同様、与えたうるおいにフタをする役割として使う方法もおすすめです。実際に、オイル→化粧水→オイルというステップでスキンケアをおこなっている方も少なくないのだそう。

・オイルをスキンケアに取り入れる場合の注意点
日常のお手入れに美容オイルを取り入れる場合は、注意する点もいくつかあります。まず気をつけるのは「多くつけすぎないこと」。顔全体に1~2滴ぐらいを目安とし、あくまでごく少量を薄く薄く延ばす感覚で肌にきちんと浸透させましょう。初めに油分を与えすぎると肌表面で厚い油膜になってしまい、化粧水などの水分を逆に遮ってしまいます。
また、オイルを必要以上に多く与えすぎると、肌の油分をコントロールする皮脂腺のはたらきが鈍ってしまうともいわれています。この状態が続くと、必要なときに皮脂が足りなくなってかえって乾燥しやすくなる可能性もあるため、使い過ぎには要注意ですね。

■スキンケアに取り入れたいオイルの種類とそのはたらき

スキンケアにはオイルが良いとはいっても、油なら何でもOKというわけではありません。ここでは、顔のシワ予防のケアに適したオイルの種類と、それぞれの持つはたらきについてくわしくご説明します。

【1.アルガンオイル】
モロッコ原産の「アルガン」という植物からとれる希少な油を原料とし、小ジワなどに効果があったとの声も多い美容オイルがアルガンオイルです。ビタミンEが豊富といわれるオリーブオイルのさらに3倍量のビタミンEを含むとされ、抗酸化作用がとても強いことで知られます。若返りのビタミンとも呼ばれるビタミンEには皮膚を修復する作用もあるため、肌のターンオーバーを正常に整えてシワなどのトラブルが起こりにくい状態にしてくれるといわれています。

【2.ホホバオイル】
手軽に肌へうるおいを与えられるオイルとして、長年愛用されているのがホホバオイル。自然界の生物で唯一「ワックスエステル」という成分を含み、肌への浸透が良い点が大きな特長です。人の皮脂膜にとても近い性質を持つワックスエステルの作用で、お手入れに使えば肌に生き生きとしたハリとうるおいをプラスできます。
また、余分な角質をおだやかに取り除く作用も期待できるため、クレンジングオイルとして使用すると毛穴詰まりのお悩み解消にも役立ちます。アルガンオイルなどと比べれば安価で入手しやすいため、スキンケア以外にもクレンジング・全身のスキンケア・髪と頭皮のケアなどさまざまな用途にたっぷり使うことができるのもメリットです。

【3.オリーブオイル】
主に食用として用いられ、かねて健康に良いことがよく知られていたオリーブオイル。国内の化粧品メーカーが「オリーブオイル1滴でシンプルスキンケアが実現」とうたって化粧水との組み合わせ使用を推奨し、それがヒットしたことで一躍スキンケア用オイルとしても知名度を上げました。
抗酸化作用の強いビタミンEや肌保護作用のあるビタミンAを多く含むほか、リノール酸や人の皮脂に近い脂肪酸であるオレイン酸も豊富。これらの不飽和脂肪酸は皮膚の炎症を抑える作用もあるため、肌の老化予防にも効果的といわれています。オリーブオイルは肌なじみが良く価格も安いため、スキンケア以外にもクレンジングやマッサージ、ヘアケアなど広い用途で活用できます。ただし、食用のオリーブオイルを肌につけることは精製度の観点からもあまり推奨されていません。化粧品として、きちんと精製されたオイルを選ぶようにしましょう。

これらのほかにも「ローズオイル」「ココナッツオイル」「ローズヒップオイル」「馬油」など、天然原料を用いたさまざまな種類のスキンケアオイルが出回っています。いずれも抗酸化作用が強く、使い続ければ肌の老化を抑えられるといわれているものがほとんど。シワを予防するために、さっそく肌に合ったオイルを選んでスキンケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。使用の際には、不純物を極力取り除いたスキンケア専用のオイルであることを確かめて使うよう気をつけましょう。

■シワのお悩みは、オイルでどこまでケアできる?

シワのお悩みに日常的なケアで対処するなら、オイル美容を取り入れることも効果的であるとわかりました。しかし、オイルでお手入れすることはどこまでシワのお悩みの対処法になるのでしょうか。
一般に、オイルで対策できるシワのお悩みは「乾燥小ジワ」の段階までといわれています。乾燥小ジワとは、目元や口元に水分不足が原因であらわれる浅く細かいシワのこと。すでに溝のように刻まれてしまった深いシワを改善することは、どんなに美容効果の高いオイルであってもむずかしいとされています。できてしまったシワは、やはり美容医療で治してしまうことが確実ですね。
とはいっても、オイルでのスキンケアは今後新たなシワを作らないための予防ケアとしては十分に有用なもの。しっかりオイルでお手入れを続けながら、ときどき美容医療によるシワ治療をおこなうなど、複数のお手入れを併用するとより確実な効果が期待できます。
なお、クリニックでシワ治療を受ける際には、治療法しだいでオイルの使用をしばらくお休みしなければならない場合もあります。治療をしている間は、日頃のスキンケアも必ず医師の指導を守りながらおこなうようにしましょう。

■おわりに

この記事では、スキンケアによるシワ対策として美容オイルを取り入れる方法や、シワに効果的なオイルの種類などについてご紹介しました。肌に直接つけるオイルを選ぶ際は「酸化しにくい(抗酸化成分が豊富である)こと」や、「香りや使用感がご自分に合うこと」などを考慮し、気持ち良くお手入れできるものを選択しましょう。また、美容医療と併用してお手入れする場合には、オイルの日常的な使用について必ず医師に確認するようにしてくださいね。

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