(乾燥)肌

そのシワ、乾燥肌のせいかも?乾燥でシワができる原因・対策まとめ

年を重ねるとともに、どうしても肌の衰えを感じてしまう……という方は少なくないはずです。中でも気になりがちのは、顔のシワ。老けた印象を与えないためにも、なるべく顔にシワができないように気をつけたいものです。
シワ対策を考えるとき、とりわけ注意が必要なのは乾燥肌の方でしょう。乾燥とシワは深く結びついています。
そこで今回はシワや肌の乾燥のメカニズムから、乾燥肌の改善方法、化粧品の選び方までさまざまな豆知識をお伝えします。ぜひ、参考にしてみてください。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■シワはどうしてできる?シワのタイプと原因

目元やおでこ、ほうれい線など老けた印象をつくるやっかいなシワ。ではそもそもシワとは何か、ご存知でしょうか?
シワには大きく分けると「表情ジワ」「乾燥ジワ」の2つがあります。まずは、シワの種類をおさらいしましょう。

・表情ジワ
笑うと目じりに細かいシワができたり、怒ると眉間にシワが寄ったりします。表情ジワとは、特定の表情になったときにできたこのようなシワが、ほかの表情になってもそのまま残ってしまうことを指します。
肌の水分が足りていれば、表情が元に戻るのと同時に一時的にできたシワもなくなります。しかし、水分の足りない肌では、一度できたシワが元に戻りにくく、そのまま顔に残ってしまうのです。

・乾燥ジワ
乾燥ジワにはタイプが2つあります。
1つめは「表皮性ジワ」です。皮膚のもっとも外側に近い部分である表皮に水分が不足していることからできるシワで、浅く細かい形状をしていることから「ちりめんジワ」「小ジワ」とも呼ばれます。
2つめは「真皮性ジワ」です。真皮は、表皮と皮下組織(血管や皮下脂肪)の間にある部位で、毛細血管や汗腺が通っています。この真皮に含まれる、ハリを保つ成分コラーゲンが不足していることが原因でできるシワが真皮性ジワです。
主な原因は乾燥、そして紫外線によるダメージです。表皮性ジワに適切に対処していないと、真皮性ジワへと進行することもあるようです。

このように、シワにはいくつかタイプがあるものの、原因にはどれも乾燥が関わっているといえるでしょう。では、肌が乾燥しているとは、いったいどのような状態を指すのでしょうか。続いてみていきましょう。

■乾燥肌とはいったい何?肌が乾燥する理由とは

コスメ売り場でメイクのトライアルをしたときに、自分の肌のタイプを調べてもらったことはありますか?皆さんの中には「あなたは乾燥肌ですね」と診断された方もいるかもしれません。
肌に含まれる水分は、本来ならば角質細胞間脂質天然保湿因子細胞間脂質といった成分に守られています。しかしこういった「バリア」がなんらかの原因で欠乏していたり十分機能していなかったりすると、肌の水分が不足状態に陥ってしまいます。これが乾燥肌です。
ただし、乾燥を引き起こす原因はさまざまです。アトピー性皮膚炎など遺伝的な原因により肌が乾燥しやすくなっている場合もあれば、洗剤など皮膚が触れるものが原因となって肌が乾燥する場合もあります。また、適切なスキンケアができていない場合や、食生活が偏っている場合も、肌の乾燥を引き起こすといわれています。
先ほどご説明した乾燥ジワのうち「表皮性ジワ」と呼ばれるものは、まさに乾燥肌の人の皮膚に起こっている水分不足の現象そのものだとも考えられます。また、「表皮性ジワ」は「真皮性ジワ」を引き起こす原因のひとつでもあるため、乾燥対策は「真皮性ジワ」の予防にも一定の効果があると考えられるでしょう。

■乾燥肌の人がシワ対策のために気をつけること3選

①肌の水分を保つ
当たり前のことのようにも思えますが、シワ対策の基本は乾燥で不足する水分を補って肌を潤し、バリア機能を働かせることが大切です。
保湿性の高い成分を角質層に与えることで、シワが目立たなくなる、できた表情ジワが消えやすくなるなどある程度の改善を期待することができます。具体的にどんな成分を含んだコスメがよいかについて、詳しくは後ほど説明します。

②UV対策をおこなう
真皮まで届く紫外線は日焼けやシミだけではなく、「真皮性ジワ」の原因でもあります。
帽子や日傘で日光を避けたり、日焼け止めを塗ったりするのを忘れないようにしましょう。また、夏場だけではなく、紫外線が本格化する春ごろから対策を始めておくことが重要です。

③生活習慣を整える
偏った食生活や乱れた生活リズムも、肌の状態を悪化させる原因です。
角質の天然保湿因子の生成を促進するビタミンA肌の新陳代謝を助けるビタミンEなど、ビタミン類やミネラルはお肌に欠かせない成分ですので、意識して摂取するようにしましょう。
また、人間の身体は深い眠りに落ちているときに成長ホルモンが分泌され、新陳代謝が活発化します。肌を健やかに保つためには、十分な栄養・休息をとることを心がけましょう。

■乾燥肌向けコスメ選びのコツ!~化粧水やクリームの選び方、スキンケアの方法

それでは、乾燥肌の方向けに化粧品選びのコツや、スキンケアをするときの注意点をお伝えします。

・含まれている成分に注目!
セラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸は保湿成分が高いといわれています。これらの成分は皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。化粧水やクリームなど、基礎化粧品選びの際はこういった成分が含まれているものを使うことをおすすめします。

①セラミド
細胞間脂質の主成分であるセラミドは強い水分保持力を持っているため、角質層に浸透してお肌の潤いを保つ効果が期待できます。

②コラーゲン
タンパク質の一種で、高い保湿力を持ち皮膚や骨、髪に含まれます。皮膚の真皮の多くを占める成分で、保水や新陳代謝、肌のハリを生み出します。食品では肉・魚類などに含まれています。

③ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は真皮に含まれる保湿成分で、多量の水分を蓄える働きを持ち、細胞の隙間を埋めています。関節や目など体のさまざまな部分に含まれていますが、肌では潤いと弾力を作り出しています。
最近ではミネラルファンデーションといって、ファンデーションにヒアルロン酸が配合されたものも売られているようです。

・敏感肌やアレルギーの人は要注意!
乾燥肌の方の中には、敏感肌やアレルギーを持っているという方もいらっしゃるでしょう。いくら効果が高い化粧品であっても、肌荒れを引き起こしてしまっては意味がありません。
不安な方は、パッチテストをおこなって自分のアレルゲンを知っておけば、化粧品で肌トラブルが起きる可能性を抑えられます。また、お目当ての製品に無料の試供品や小分けになったお試しセットがあれば、本格的に製品を購入する前に使ってみて、自分の肌にあった化粧品かどうか確かめるとよいでしょう。

・「化粧品があれば安心」ではない
保湿力が高いなど美容成分が豊富に含まれた化粧水やクリームを使っていれば、それで安心というわけではありません。スキンケアの際には、クレンジングや洗顔をおこなって肌の汚れや化粧を落とし、肌の調子を整えてから化粧水や美容液、クリームを使うことが重要です。
その際、汚れを落とそうと思って顔をゴシゴシとこするのは禁物。また、すすぐのに熱すぎるお湯を使ったり、何度もすすいだりするのもおすすめできません。肌への刺激を最小限にとどめるため、洗顔はやさしく、短い時間でおこないましょう。

■おわりに

乾燥した肌はシワになりやすいため、乾燥肌の人にとってシワはやっかいな存在です。しかし、正しいスキンケアやコスメ選び、日常生活におけるちょっとした心がけがあれば、ある程度予防・改善することは可能です。いつまでも健やかで美しい肌を保っていくために、少しずつ意識してみてはいかがでしょうか。