1.シミと美白ケアの仕組み
・シミを作るメラニンとは
肌の表皮の最深部にあたる「基底層」に「メラノサイト」という物質が存在し、紫外線などの刺激を受けると皮膚を保護するためにメラニンを産生します。メラニンには、皮膚の細胞が紫外線によって受けるダメージをブロックするはたらきがあります。
・シミができるメカニズムと、シミが茶色である理由
皮膚の細胞内にはチロシンというアミノ酸が存在し、紫外線を受けるとチロシナーゼという酵素の働きでメラニンに変化します。シミは、メラニンが角化細胞に蓄積した状態を指します。蓄積したメラニンは、本来お肌のターンオーバーで自然に排出されます。しかし、加齢・ストレスや生活習慣・紫外線の悪影響などでターンオーバーが不調になると、メラニンの排出もうまく行われず、シミになりやすくなります。また、シミが茶色いのはメラニンそのものが黄赤色または黒褐色の色素であるためです。
・ニキビや傷、虫刺され跡がシミになる原因
ニキビや傷、虫刺されの跡は「炎症後色素沈着」と呼ばれます。皮膚が炎症で刺激を受けてメラニンが合成されるためで、原理は紫外線によるシミと同様です。こちらもターンオーバーで薄くなりますが、ニキビなど度重なる炎症や強い炎症の場合は長く残ることもあります。
・シミの種類
1.日光色素斑
こめかみ、頬、額などにできる類円形の褐色の色素斑で、日光による紫外線の影響でできます。
2.雀卵斑
いわゆるソバカスで、10代前半ごろから頬、鼻などに多くできる小さな色素斑です。紫外線で濃くなり次第に目立つようになります。
3.炎症後色素沈着
ニキビ、傷、火傷、虫刺されなどが治った後にできる色素沈着で、時間の経過で薄くなります。
4.口唇色素沈着
アトピー性皮膚炎や口唇炎などの後、唇に生じる色素沈着です。
5.扁平母斑
生まれつきのあざで、身体の部位を問わずできます。
6.太田母斑
目の周りや額にできる青いあざです。生まれつきのものも多い反面、中年以降に突然できるものもあります。保険適応でレーザー治療ができます。
7.悪性黒子
悪性度の高い皮膚癌の一種で、いびつで色ムラのあるシミが徐々に拡大します。早期に皮膚科専門医の診察が必要です。
8.肝斑
30~40歳代の女性に多く、顔の左右対称にできる薄いシミです。ホルモンや紫外線など色々な要素が原因と考えられますが、詳しい発症のメカニズムは不明です。
頬や額、口の周囲に多く、目の周りだけ白く抜けて見える特徴があります。初期はぼんやりくすむ程度ですが、徐々に広がり濃くなります。
・シミ・くすみの豆知識
1.加齢によるくすみの原因加齢によって肌のターンオーバーが乱れ、古い角質がたまると肌がくすんでしまいます。
2.日焼けが薄くなるまでの期間
肌のターンオーバーは約28日周期ですから1ヶ月後には薄くなりますが、部位や年齢次第で長くかかる場合も。平均3か月程度といわれますが、肌質などでも個人差があります。
3.若い頃の日焼け跡がシミになる可能性
頻度や強さにもよりますが、若い頃日焼けするとシミの可能性は高まります。ターンオーバーを早めるピーリングやビタミンC摂取で予防しましょう。
4.紫外線以外でもシミになるケースや、冬のシミ・糖化や酸化によるシミ
肌の頻繁な摩擦はシミの原因になり得ます。また、冬のシミは夏に浴びた紫外線が原因である場合が多いです。また糖化・酸化で起こるのは、シミというよりくすみでしょう。
5.シミが増えてからの美白ケアは手遅れなのか
ターンオーバーの遅れや、紫外線や摩擦などの刺激がシミの原因であることは変わりませんから、美白ケアも手遅れになることはありません。
6.シミが出やすい顔の部位
紫外線が当たりやすい頬の高い部分や、こめかみなど顔の側面になります。
7.肌を守るメラニンを遮断することや、美白ケアによる悪影響はないか
美白ケアで全ての紫外線やメラニンは阻止できません。あくまで過剰にならないよう和らげる作用が主体ですから、多少刺激を感じる場合があっても悪影響にはなり得ません。ただし、過剰にならないよう肌状態に合った物を使用しましょう。
8.美白ケアで元の肌色より白くすることは可能か
美白ケアでは、元の肌色より白くはなりません。ただし、紫外線を浴びにくいお腹や腕の内側などの白さに近づけることはできます。