食べ物はエイジングケアの基本!たるみ予防に役立つ栄養素とは?

30歳を過ぎた頃から、頬のもたつきを感じる方も多いのではないでしょうか。顔がたるむ要因のひとつは、皮膚の真皮層にあるコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンの減少です。
これらの“弾力繊維”が切れてハリが失われると、脂肪が下垂し、たるみにつながります。大切なことは、加齢とともに減っていく成分を内側から補っていくこと。今回は、たるみと食べ物の関係性について詳しく解説していきます。
ちょっとした食べ方や、効率のいい栄養素の組み合わせを知っておくだけでも、加速する老化にブレーキをかけることができますよ。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■たるみ予防に役立つ栄養素や食べ物は?

これ以上たるみを進行させないためには、肌を構成する上で必要な成分を意識して摂ることが大切です。まずは、どのような栄養素がたるみに有効なのかみていきましょう。

1)大豆イソフラボン>br> 女性ホルモンの一種「エストロゲン」と似た働きをする栄養素のひとつです。肌のハリやツヤを高めてくれるだけでなく、ヒアルロン酸やコラーゲンの合成をサポートします。
特に更年期のたるみは、老化現象とエストロゲン不足により二重にダメージを受けやすくなるため、積極的に摂りましょう。イソフラボンを多く含む食べ物は、納豆や豆腐、油揚げ、きな粉などです。

2)ポリフェノール
ポリフェノールとは、植物の色素や苦み、渋みの総称のこと。抗酸化作用が高く、血液の流れをスムーズにするため、体のすみずみまで栄養を届きやすくします。
ポリフェノールを多く含む食品は緑茶やココア、ごま、なす、赤ワインなどが挙げられます。ポリフェノールは作用が異なるものが多いため、まんべんなく食事に取り入れ、抗酸化パワーを高めましょう。

3)タンパク質
肌の土台ともいえるタンパク質は、体のエネルギー源になる欠かせない栄養素のひとつです。タンパク質は約20種類のアミノ酸で構成されており、そのうち9種類は体内で作ることができません。
また、肌のハリを保つのに欠かせないコラーゲンをつくり出す材料となるのもアミノ酸です。タンパク質は、豚肉や魚、動物性のゼラチン質などに多く含まれています。

これらの栄養素以外に、腸内環境を整えてくれる食物繊維を摂ることも大切です。腸内に悪玉菌が増えると、タンパク質の合成をジャマして肌のサイクルが遅れたり、ビタミンB2やB6、ナイアシンが不足して皮膚や粘膜が敏感になったりしてしまうことがあります。
腸内はつねに善玉菌が優位になるように、ヨーグルトや納豆、きのこ、海藻類、根菜などをたくさん摂るように心がけましょう。

■コラーゲンを作るにはビタミンC、鉄分をお忘れなく

冒頭にたるみの原因はコラーゲンの減少とお伝えしましたが、残念ながらコラーゲンをそのまま食べてもうまく体内に吸収されません。コラーゲンはタンパク質の一種で、細胞同士をつなげる役割を担っています。そのため、単体で摂っても意味をなさないのです。
そこで、コラーゲンの合成をサポートするビタミンC、そしてアミノ酸をつくり出す鉄分を一緒に摂取してみましょう。そうすることで、上質なコラーゲンをつくり出してくれます。
コラーゲンを多く含む手羽先や牛すじ、豚足、鶏皮などを食べる際は、ビタミンCが豊富な果物や緑黄色野菜、さらに鉄分が豊富な海産物なども食卓に並べてみましょう。ビタミンCは鉄分の吸収を助ける働きもしてくれるため、まさに一石三鳥の組み合わせといえます。

■美肌を保つためのカギは「抗酸化力」

私たちに必要不可欠な酸素は、体内に取り込まれたあと、酸化力の強い活性酸素へと変化します。本来、活性酸素は菌やウイルスから守ってくれるありがたい存在ですが、過剰に生成されると老化を早めることが分かっています。
過剰な生成を促す原因は、紫外線やストレス、喫煙などさまざまですが、日頃から抗酸化力の高い食べ物を補うことで、体や肌へのダメージを抑えることが可能です。もちろん、肌のたるみにも大きく関わっているため、ぜひ積極的に摂りたいところです。
特に、美肌に欠かせない3大ビタミンと呼ばれる「ビタミンA・C・E(エース)」が含まれた食材を多く摂ることで、さまざまな色素成分の抗酸化作用を発揮することができます。ここで、各成分の特徴をみていきましょう。

・ビタミンA……肌の粘膜やうるおいを保ち、紫外線などの外部刺激へのバリア機能を高める
・ビタミンC……紫外線の害を防ぐ、また体内でコラーゲンの合成を助ける
・ビタミンE……女性ホルモンの分泌を助け、血行を良くして肌を活性化する

これら3つの栄養を多く含む食材は、大根の葉、カボチャ、カラーピーマン(赤)、かぶの葉、ほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリー、小松菜、ニラなどがあります。「そうした野菜を調理するのが面倒」という場合は、例えば、好きな野菜を煮込むだけのラタトゥイユなどを作って常備しておくと、簡単にビタミンチャージすることができますよ。
さらに、見た目が「赤い食べ物」もおすすめです。抗酸化力の強いリコピンを多く含むトマトや赤パプリカのほかに、エビやカニ、鮭などは老化を防ぐアスタキサンチンという栄養を含んでいるため、ぜひ取り入れてみましょう。
また、食事だけでなく睡眠も肌の健康のためには大切な要素です。紫外線を長時間浴びてしまった日や肌荒れが気になるときは、上記の栄養素をたくさん摂取し、さらによく眠るようにしましょう。

■逆に、肌に良くない食べ物とは?

食生活が私たちに与える影響は大きく、体に良い食べ物は老化を遅くし、そうでないものは老化を加速させているともいえます。
例えば、高脂肪の食べ物は抗酸化物質をたくさん必要としますし、アルコール摂取で上昇するコルチゾールという成分は、コラーゲンやエラスチンの代謝を低下させるため、お酒の飲み過ぎも良くありません。さらに、糖分を摂りすぎると体内でコラーゲンと結合して糖化を招き、コラーゲンの減少や質の低下を招くことになります。
いくら肌に良い食べ物を摂っていても、同時にこうした食べ物も多く摂取していては、効果はなかなか発揮されないでしょう。良いものを知るだけでなく、悪いものも知った上で、毎日のメニューや栄養バランスを考えましょう。

■今すぐ実践したいたるみを防ぐ“食事術”

たるみ予防には食べ物も重要ですが、ちょっとした食べ方の工夫で老化のスピードを緩めることができます。ここでは、より効果がアップする「たるみ対策の豆知識」をご紹介します。

・食事のスタートは野菜から
すぐに実践できることのひとつに、食べる順番を意識することが挙げられます。食事の際は、肉類やご飯などよりも先に、野菜類から食べるようにしましょう。
老化のスピードを上げてしまう糖化を防ぐには、食物繊維の摂取が重要です。食物繊維は野菜や豆類、キノコ類、果物などに多く含まれています。
これらを先に摂ることで血糖値の上昇が緩やかになります。肌の健康を保つだけでなく、ダイエットにも効果的ですよ。

・おやつはナッツ類かドライフルーツで
小腹が空くと、ついスナック菓子やチョコレートに手が伸びてしまうという方も多いのではないでしょうか?
しかし間食による糖分の摂取は、肌にはあまり良くありません。間食をやめられない場合は、ナッツ類かドライフルーツを積極的に摂ると良いでしょう。
特にナッツ類はビタミンEやミネラルが豊富に含まれたバランス栄養食。少量で満腹感を得られますので、ダイエットにも最適です。

・咀嚼は30回以上を心がけて
噛むことは表情筋が鍛えられるだけでなく、唾液の分泌が良くなり虫歯予防につながる、満腹感を得られるといったメリットがあります。なるべく姿勢を正して、右側で10回、左側で10回、ラストは口内全体を使って10回噛むことを心がけてみましょう。毎日意識すれば、効果的なたるみ予防になりますよ。

■おわりに

たるみ予防に効果が期待できる食べ物や栄養素、さらに食べ方の工夫などをご紹介しました。基本的には1日3食バランス良く摂取することが大切ですが、特に栄養素の吸収率が高いといわれる「夜」に積極的に摂るとより良いでしょう。ただし、脂肪や糖分の吸収率も高くなるため食べすぎには注意しましょう。
食事を中心に日常から気を付けることに加え、美容の専門クリニックなどでたるみへの治療を定期的に行うことで、より若々しい肌をキープすることができます。食生活だけでなく、さまざまな角度からたるみ予防を意識してみてください。

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