鍼(美容鍼)

美容鍼はたるみにどう効く?驚きのメカニズムをご紹介

これまで化粧品やマッサージだけでは、たるみへの効果を実感できなかった方も多いのではないでしょうか。鍼治療(美容鍼)は、このようなケアでは届かなかった部分をカラダの内側から刺激することで美容効果を期待できると注目を浴びている方法です。また、美容のみならず、筋肉のコリや痛みをともなう症状、さまざまな病気への効果も期待できます。
そこで今回は、主に「たるみ」に悩む女性におすすめしたい美容鍼の効果や、気になる即効性の有無、安全性などについて詳しくご紹介します。手術などをせずに自然な形でリフトアップしたい方や、何を試してもたるみに効果がなかったという方、効果を持続させたい方は必見です

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■鍼治療とは?

東洋医学の考えに基づき、中国では三千年以上前から長く受け継がれてきた治療法のひとつです。体の特定の点を刺激するため、専用の鍼を用いて体に刺して(接触させて)行います。このように体のツボ(経穴)を刺激することで自然治癒力を高め、さまざまな体の不調を緩和してくれるのです。
その効果については、世界保険機構(WHO)にもさまざまな病気や症状に対して有効性が認められています。鍼治療は、主に以下のような効果が期待できます。

美肌効果
・血液やリンパ液の代謝を高める
・ストレスや緊張を和らげるリラックス効果
・自律神経のバランスを整える
・筋肉のコリを和らげる

■たるみにも有効的な「美容鍼」のメカニズム

さまざまな不調にアプローチする鍼治療ですが、そのなかで美容を目的としたものが「美容鍼」です。
皮膚は表皮、真皮、皮下組織という三層が重なったものですが、美容鍼は肌の真皮層や筋肉に刺激を与えていくものとなっています。つまり、肌表面からのアプローチではなく、肌の細胞や血管、神経を刺激して体の内側にダイレクトに働きかけてくれるのです。肌本来がもつ治癒力を活性化させ、加齢により乱れたターンオーバーを正常に導いてくれるため、まさにエイジングケアに適した美容法といえるでしょう。
美容鍼の効果は、しみやシワ、ニキビなど多岐にわたりますが、特に注目したいのが「たるみ」への働きです。そもそも皮膚がたるむ原因のひとつに、加齢による筋力の低下が挙げられます。
顔の筋肉は使わないと衰えていくため、表情筋を鍛えることがたるみの予防に役立ちますが、一度たるんでしまった脂肪はなかなか元の位置には戻りません。そこで、「美容鍼」が有効なのです。なぜ美容鍼がたるみに効果的なのか、そのメカニズムをみていきましょう。

1)自然治癒力を高めて、肌サイクルを活性化
ケガや風邪をひいてもいずれ回復へと向かっていくように、私たちの体には「自然治癒力」というものが備わっています。美容鍼においても、皮膚に鍼を刺すことで細胞に「組織を壊された」ことを認識させ、皮膚を修復させる働きを促します。そうすると、たるみを予防する上で欠かせないコラーゲンやセラミドの生成を積極的にサポートするようになり、自然と肌にハリが生まれやすくなるのです。

2)筋肉をほぐして、血行を促進する
美容鍼は顔の筋肉に働きかけ、血流を促してくれる効果があります。血液の循環が良くなると、凝り固まった筋肉がほぐれると同時に本来の位置に戻るため、結果的にリフトアップすることができます。
エステなどでリンパに老廃物を流して一時的に小顔にするマッサージ法がありますが、美容鍼はもっと根本的なたるみの原因にアプローチすることができるため、そこが大きなメリットになります。

3)小顔効果の高いツボを刺激し、むくみをリセット
顔にはさまざまなツボが存在します。例えば、小顔に効果がある「上廉泉(かみれんせん)」や「翳風(えいふう)」などのツボを鍼で刺激することで代謝が活発になり、ムダのない本来のフェイスラインを取り戻すことが期待できます。脂肪ではなく、老廃物が溜まって顔が大きく見えていた方は特に効果を実感しやすいでしょう。

4)肌への栄養をスムーズに行きわたらせる
健康な肌をつくる上で必要な栄養が行きわたっていないと、頬がたるみ、ほうれい線が出やすくなります。特に胃腸が弱っている場合はこのようなことが起こりやすくなります。そうした場合も、美容鍼で胃腸の働きを整えるツボにアプローチして栄養の吸収力を高めましょう。肌まで栄養が行き届くようにすれば、たるみ以外にも、ニキビやくすみなどが連鎖的に良くなるケースも少なくありません。

■たるみへの即効性や治療の頻度について

美容鍼を行う上で気になるのが、たるみに効果がでる期間や、それに必要な治療の頻度ではないでしょうか。ここでは、美容鍼の即効性やクリニックに通う回数の目安をご紹介します。

・美容鍼は即効性の高い施術
美容鍼は、マッサージなどでは届かない場所をダイレクトに刺激するため、即効性の高い美容法といえます。もちろん筋肉の硬さやたるみの程度によって個人差がありますが、実際体験した人のなかには「翌日に肌のハリを感じた」という意見も多いようです。
効果が持続する期間は一般的に2週間程度とされていますが、肌に良くない生活を送っていては、持続期間も少しずつ短くなっていきます。そのため普段から、たるみ予防につながる食生活を意識したり、生活習慣の乱れを改善したりといった日々の見直しも大切です。

・どのくらいの頻度で通うと効果的?
美容針の施術の頻度は個人差がありますが、一般的にはまず週に1度のペースで行い、悩みが改善したあとも月に1~2回程度のペースで通うのが理想的です。美容鍼を施した肌は、コラーゲンやセラミドの分泌が促進されやすくなるため、施術を重ねるたびに持続時間が長くなるという傾向があります。肌のサイクルが整ったあとも定期的に施術を行い、効果をより長く持続していきましょう。

■美容鍼の気になる痛みや安全性について

顔に鍼を刺すというのは、考えただけでも「痛そう」と思う方が多いのではないでしょうか。しかし、実際に美容鍼に用いる鍼の太さは0.14mm~0.34mmの範囲内。大体、髪の毛と同じくらいの細さです。
使う部位により太さは異なりますが、特に顔には細い鍼を使うことが多いようです。体質やその日の体調などによって感じ方は異なりますが、痛みはほとんど感じることはありません。また、鍼は使い捨てなので衛生面も安心です。
鍼の素材や形状は、体への負担が少なくなるように工夫されています。美容鍼は、マッサージのように肌表面への刺激や圧を与えることは少ないため、敏感肌の方でも安心して受けることができます。
ただ本当に稀なケースですが、内出血をともなう場合があります。本来鍼は血管を避けて行いますが、血管の弾力性の低下などといった理由で、誤って鍼が血管に刺さり、内出血を起こしてしまう場合があります。しかし、ずっと肌に残る心配はなく、早くて2~3日、長くても3~4週間ほどで自然に消える場合がほとんどとなっています。

■電気を流す美容鍼って?

鍼を刺すだけでも十分に刺激を与えることは可能ですが、「鍼に電気を流す」施術を行っているクリニックもあります。これは、特殊な低周波電流によりさらに刺激をプラスすることで、強制的に表情筋を鍛えたり、逆に凝り固まった筋肉をゆるめて柔らかくしたりしてくれる施術です。総合的にみて美容鍼の効果をグッと底上げしてくれるため、より早い効果を求める方に適しています。

■おわりに

美容鍼はもともと、海外セレブたちが取り入れていることでも注目を集めた美容法です。日本でも多くの女性に広まりつつある今、人気の秘密はやはり安全性と持続性の高さが大きいといえるでしょう。
無理なく、内側から美しくなることが期待できる美容法なので、肌質から改善したいという方にもおすすめです。ぜひ一度、試してみてください。

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