ヒアルロン酸

たるみに良い「ヒアルロン酸」、どんな活用法が最も効果的?

肌のたるみは、加齢や肌機能の衰えなどが原因であることはよく知られています。しかし、一定の年齢になればどなたでも同じように肌がたるむわけではなく、たるみの程度にも個人差があります。早期にたるみが出てしまう方の場合、やはり肌をたるませる大きな要因として「乾燥肌」が挙げられるでしょう。
この記事では、肌のたるみの根本原因をつくるといわれる「乾燥」を防ぐために大切とされる肌内部の保湿成分「ヒアルロン酸」によるたるみケアについてご紹介します。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■ヒアルロン酸とは?

ヒアルロン酸は、肌の深い部分である真皮にもともと存在する保湿成分です。肌の弾力に大きく関わるコラーゲンエラスチンなどの、繊維状になった構造部分のすき間を埋める役割を持っています。
ヒアルロン酸は粘度が高く、多くの水分を抱え込む性質があるため、ヒアルロン酸1グラムにつき6リットルの水分を保持できるといわれています。そのため、真皮内のヒアルロン酸量が多ければ、肌のうるおいや弾力を保つ力も強くなるといえます。
しかし、同じく肌の保湿や弾力に関わるセラミドやコラーゲンと同様、ヒアルロン酸も加齢によって減少してしまうことが分かっています。他の成分よりは減少し始める時期は遅くなりますが、ヒアルロン酸の場合は40代半ばを過ぎたころから急速に減り始めるといわれています。たとえば40代前半を100%とした場合、60代にさしかかるころには50%まで減ってしまう場合もあるのだとか。 ヒアルロン酸が減少すれば肌のうるおいが奪われやすくなり、慢性的に乾燥した状態が続くことで肌の弾力が損なわれ、たるみの原因となってしまいます。

■ヒアルロン酸配合スキンケアはたるみに良い?

ヒアルロン酸を配合したスキンケア化粧品は多く出回っていますが、化粧品として外部から塗っただけでは、分子の大きなヒアルロン酸が皮膚の奥まで浸透することはありません。
最近では分子を小さくした「低分子ヒアルロン酸」も開発され、表皮の角質層までにならヒアルロン酸を浸透させられるスキンケアも選べるようになりました。ただし、分子の大きなヒアルロン酸のほうが保水効果の持続時間は長いため、しっとり感は高くなります。低分子ヒアルロン酸はどちらかというと「さっぱりタイプ」にあたりますから、「浸透の良い低分子のヒアルロン酸の方が良い」とは限らない場合も。お肌の表面が乾燥して手に負えないときなどは、あえて高分子のヒアルロン酸を選択した方が良いこともあるでしょう。
注意したいのは、皮膚内部のヒアルロン酸は真皮に含まれますが、化粧品として塗るヒアルロン酸は真皮までは浸透しませんから、化粧品のヒアルロン酸で肌のたるみが回復することはないという点です。ヒアルロン酸配合のスキンケアは、あくまで肌表面の保湿目的と割り切って使用しましょう。ただしヒアルロン酸自体の保湿効果はとても高いため、表皮のかさつきなどにはかなり役立つでしょう。肌表面の水分補給用として、割り切って選ぶならおすすめです。

■食物から摂るヒアルロン酸はたるみに効果があるの?

化粧品として塗るヒアルロン酸がたるみの原因に直接アプローチすることは難しいとなると、「では、ヒアルロン酸を摂って内側からケアすれば…」と思う方も多いでしょう。現に、ヒアルロン酸を有効成分として配合したサプリメント(健康食品)も非常に多く出回っています。
ヒアルロン酸配合サプリメントには美肌維持を謳った製品のほか、関節や軟骨のケアを謳っているものも数多くありますが、実際のところ経口摂取により真皮や軟骨に含まれるヒアルロン酸が増加するという科学的・医学的根拠はまだありません。
ただし、「ヒアルロン酸サプリメントで膝の痛みが軽減された」「肌のハリやツヤが増したように感じる」という利用者の感想があることも事実です。ヒアルロン酸の効果については現在も研究が進んでいる最中ですから、現時点での正確なデータや根拠がないからと言って「ヒアルロン酸を食品で摂ってもたるみに一切効果はない」と言い切ることも早計かもしれません。現状のところは、今後の研究成果を注視しながらご自分の判断で利用を決めるのが良いといえそうです。
一般の食品では豚足や鶏皮、海藻類などにヒアルロン酸が多く含まれています。「サプリメントでヒアルロン酸を摂ることにはまだ不安があるけれど、たるみに効果があると信じて試していきたい」という方は、それらを積極的に選んで日常の食事からヒアルロン酸をコツコツ摂取する方法を選択しても良いでしょう。

■話題のたるみ治療「ヒアルロン酸注入」、メリットや気をつける点は?

美容クリニックで受けられるたるみ治療のひとつに「ヒアルロン酸注入」という方法があります。名前の通り、顔の気になる部分に注射でヒアルロン酸を注入し、肌の水分量を高めることで部分的なたるみを軽減して老け顔を解消するための治療です。 メスで切開するなどの外科手術を伴わないため、美容医療のなかではダウンタイム(治療後、日常生活に戻れるまでの時間)がとても短く、ピンポイントに効果を発揮できる点がヒアルロン酸注入治療のメリットです。また、大がかりな治療や手術と比較して、治療費がそれほど高くつかない点に魅力を感じる方もいるでしょう。もともとどなたの体内にも必ず存在する成分ですから、純粋なヒアルロン酸であればアレルギーなどの心配がない点にも、安心感を覚える方がいるのではないでしょうか。 しかしその反面、デメリットや注意点がないわけではありません。たるみの部分に均一に注入できる技術を持った医師に施術してもらえば心配はありませんが、技量の良し悪しで術後の仕上がりに差が生まれる可能性もあるのです。たとえば、たるみによるほうれい線治療のためにヒアルロン酸を注入したのに、たるみ部分への均一な注入に失敗したため部分的に量が増えてしまい、逆にヒアルロン酸の重みでたるみが増してしまうこともあり得ます。 また、やはり技量が伴わない治療を受けたことで顔の血管を詰まらせてしまい、皮膚移植で治さざるを得なくなった重大な失敗例も報告されています。 ヒアルロン酸はアレルギーや副作用の不安が少なく、比較的安心して美容医療に用いることのできる成分ですが、注入治療には医師の一定の技量が必須になってきます。そのリスクを鑑みつつ、信頼のおけるクリニックに相談の上治療を受けることを検討するのが、現状では最も賢明な選択といえるでしょう。

■おわりに

この記事では、ヒアルロン酸に関する説明やたるみへの効果、たるみ治療への活用例とそのメリット・注意点についてご紹介しました。加齢によって肌がたるむことは避けられませんが、今はヒアルロン酸をはじめさまざまな成分や機器を活用したたるみへのアプローチ方法が、美容クリニックで多数提案されています。 日頃からの継続的なセルフケアと並行して、クリニックが提案する美肌プログラムを取り入れることもこの機会にぜひご検討ください。多くの選択肢から最適な方法をチョイスし、満足のたるみケアを実現させましょう。

たるみに効果的な美肌プログラム

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