たるみを整形で治すことはハードルが高い?おすすめの治療法はある?

「たるみを取る治療」と聞いて「整形」を連想する方も多いでしょう。また、「整形」というと「顔にメスを入れ、縫って形を変える手術」や「顔に異物を埋め込んで物理的に引き上げる方法」を思い浮かべる方も少なくないかもしれません。
この記事では、「たるみを確実に治したいけれど、整形ってなんとなく怖いイメージがある」という方のために、さらに進化している現在のたるみ治療についてご紹介します。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■たるみを取るための「整形」にはどんなものがある?

たるみ治療のための整形といっても、さまざまな種類があります。「整形」という言葉から一般的に想像されがちな「顔を切る手術」だけとは限らないのが、現代のたるみ治療です。ここでは、たるみを効果的に治療できる「整形」のさまざまな手法について、ご紹介します。

・フェイスリフト
一般的にも良く知られている、顔の側面の目立たない部分をメスで切開してたるみを引き上げ、縫合する手術による治療法です。しっかり皮膚を引き上げてたるみを解消できるため長期的な効果を期待するなら良い方法ですが、術後の痛みがある点はもちろんのこと、ダウンタイム(施術から普段の生活に戻れるまでの期間)も長くなります。治療を受けるには長い期間いつもの日常から離れる必要がありますから、決断のハードルは昔と変わらず高めといえます。

・糸を埋め込むタイプのリフトアップ整形
フェイスリフトには抵抗があるものの、引き上げ効果はしっかり実感したいという方には、特殊な糸を埋め込んで内側から皮膚のたるみを引き上げる方法をすすめられることがあります。
この方法は施術する部位によって手順が異なる場合があり、少し(2cm程度)メスでの切開が必要となる場合もあれば、まったく切らずに施術できる場合もあります。切開した場合も、切る場所は髪の生え際などのため傷が残る心配がない場合がほとんどです。今では埋め込む糸も安全性が高く、期間が経過すれば自然に溶けるものを使用しているケースが増えました。
とはいえ、麻酔を伴う手術となりますから、美容のためだけに行うには抵抗を感じる方もいるでしょう。また、糸を埋め込む手術を受けた方は、光や電磁波を照射する美容医療がその種類によっては受けられなくなる場合もあります。ダウンタイムも1週間ほどあり、その割にフェイスリフトほどの劇的な効果は望めないため、やはり治療を検討するときの心理的なハードルはいくぶん高めといえます。

・美容レーザーなど、肌に特殊光や電磁波を照射するたるみ治療
ここから先に紹介する方法は、切る・縫う・埋めるという手順を伴わないため、一般的には「プチ整形」(日本独自の呼び方です)と呼ばれます。なかでも近年、コストやリスクを低く抑えられる美容医療として人気を集めているのが、美容レーザーと呼ばれるたるみ治療法です。
フェイスリフトや糸を埋める手術が内側から肌を引き上げる方法なら、美容レーザーは皮膚の外からはたらきかけて肌を引き締める治療法となります。治療に用いられる光や電磁波の種類は多岐にわたり、さまざまなクリニックで多くの機器が取り入れられています。しかし、真皮と呼ばれる肌の深い部分に熱を加えることでコラーゲンの再生を促し、たるみを軽減するという原理はほぼ共通しています。
顔をメスで切ったり異物を埋め込んだりすることもないため心理的なハードルが低く、ダウンタイムもほとんどなく誰にも知られずに治療できる点が主なメリットでしょう。また、治療1回あたりのコストも低く済みますが、良好な状態を長く維持するには数か月に1度ほどの目安で通院して、定期的に施術を受けることが必要です。

・注射によるプチ整形
手術を伴わない「プチ整形」として最もよく知られているのは、注射による治療法でしょう。同じ注射による治療とはいっても、実にさまざまな手法が用いられている点が特色で、たるみの種類に合わせて多くのアプローチ方法が選択できます。
たとえば「ヒアルロン酸注入」や「脂肪注入」など、安全性が高いとされる成分を気になる部分に注射して単純にハリを持たせることでたるみを目立たなくする方法があります。いっぽう、その真逆の原理で、皮下脂肪によるたるみを取り去ってすっきりと見せるための「脂肪溶解注射」という方法もあります。また、シワの治療法として知られる「ボトックス注射」は、たるみの治療法としても有効です。
患部に注射をするだけの方法のため、安全・安心なプチ整形の1つという認識が一般的ですが、きちんとした効果を安全に出すためには、高水準の技術を持った信頼できる医師による治療を受けることが大切です。
たとえば、注射する位置が微妙に異なるだけでも満足できる効果が得られないケースもありますし、安全性が高いとされるヒアルロン酸でも、注射による赤み・かゆみなどのアレルギー症状が起こる方がいらっしゃいます。また、注入したヒアルロン酸が血管に詰まることで血行障害を起こし、重篤な副作用が起こったケースも報告されています。

■「プチ整形」によるたるみ治療を注射で選ぶなら、ボトックスがおすすめの理由

注射によってたるみを治療する「プチ整形」についても先にご紹介していますが、顔というデリケートな箇所に注射を打つのですから、最適な箇所に最適な分量を注射できなければ副作用や失敗のリスクもあり得ます。
それらを考慮した場合、注射でたるみを改善する方法が数々あるなかでも、「ボトックス注射」による治療がおすすめといえるでしょう。ボトックスとは、ボツリヌス菌という菌がつくりだす「ボツリヌストキシン」というたんぱく質を主成分とした薬品を指します。
ボトックスは筋肉の収縮を抑制するはたらきを持つため、顔のシワやたるみの改善効果が得られます。また、注射する際もごくわずかの量でしっかりと効果が発揮されるため、物理的なハリを持たせる注射のように血行不良のリスクを招くほど多くの量を注入する必要がありません。
ボツリヌストキシンを主成分とした美容医療用の薬剤にはいくつか種類がありますが、「ボトックス」の名称は米アラガン社の登録商標であり、日本国内で厚労省の認可を受けているのはアラガン社の「ボトックスビスタ」という薬品のみです。より安心できるボトックス注射を選ぶなら、「ボトックスビスタ」を治療に使用する信頼のおけるクリニックで治療を受けることがおすすめでしょう。効果の持続性を求める場合は定期的に治療を受けることもできますし、継続して注入することでシワ予防効果も期待できます。

■おわりに

この記事では、一般的な「整形」から、ポピュラーな「プチ整形」まで、たるみ治療のさまざまな方法とおすすめの「プチ整形」についてご紹介しました。
注射によるプチ整形でおすすめした「ボトックス注射」は、手術を伴う美容医療に抵抗を感じる方でも比較的チャレンジしやすい治療法といえます。ボトックス注射は、術後から日常生活に戻れるまでのダウンタイムも短く、注射する薬剤がごく少量で済むなど、さまざまな美容医療のなかでも患者さんへかかる負担が少なめの方法といえます。信頼できる医師にお任せすることにさえ配慮すれば、比較的安心感があって効果も望める治療法でしょう。

イデリアスキンクリニックのボトックス注射

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