シミの種類と治療法 林 伸和 先生
シミというのはよく使われる言葉ですが、医学的にはシミには良性のものから悪性のものまでいろいろあります。
その中でも代表的なものをあげてみました。
- 日光色素斑
こめかみ、頬、額などにできる類円形の褐色の色素斑です。
これまでに受けた日光暴露によって生じます。背中や手の甲などにもできます。 - 雀卵斑
いわゆるソバカスで、中学生くらいに頬、鼻などに小さな色素斑が多発し、
次第に目立つようになります。紫外線にあたると濃くなります。 - 肝斑
30~40代に頬からこめかみにかけて色素斑ができてきます。
日光色素斑に比べ大型で、多くは目の下に見られます。 - 炎症後色素沈着
火傷や日焼け、かぶれ等の後に生じる色素沈着です。
一過性で時間の経過とともに消えていきます。 - 口唇色素沈着
アトピー性皮膚炎や口唇炎などの唇の荒れの後に生じる色素沈着です。 - 扁平母斑
生まれつきのあざです。体中のどこでも生じます。 - 太田母斑
目の周りや額にできるあざです。生まれつきのものだけではなく、中年以降に色が出てきたり、左右対称に両側に出てくるものもあります。
保険適応でレーザー治療ができます。 - 悪性黒子
悪性度の高い皮膚癌の一つです。高齢者にできることが多く、形や色調が不整なシミが次第に拡大します。
早めに皮膚科専門医の診察が必要です。
シミに対する治療法は、シミの種類、色調、大きさにより異なります。
ダウンタイム(治療後のかさぶたなどが消えるまでの時間)、費用などを皮膚科専門医と相談して決めることが重要です。
<治療法>
レーザー治療
シミに対して用いるレーザーは、Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーや、Qスイッチ・ルビーレーザーが良いでしょう。いずれもシミの色素であるメラニンに吸収される波長のレーザー光をごく短時間照射することで、皮膚の他の部分に与える影響を最低限にして色素を破壊する仕組みになっています。かさぶたになる期間が1週間程度あります。
ケミカルピーリング
皮膚の垢になって落ちる直前の角層とよばれる部分にグリコール酸を塗布します。全体の色調が白くなるので、広範囲のシミにおすすめです。グリコール酸の濃度やpHにもよりますが、その日からお化粧も可能です。治療効果を見るには2週間に1回、3ヶ月程度くり返し治療します。
美白剤
文字通り肌の色を白くします。医療機関でよく用いられてるのは、ハイドロキノンとルシノールです。
いずれもメラニンの産生を抑制します。
手術/生検
シミのなかには皮膚癌もあります。皮膚科専門医が必要と判断した場合には、手術や生検(皮膚を小さくとって調べる検査)など行う場合もあります。
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