毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん) 川島眞 先生
毛孔性苔癬とは
肩から二の腕、上背部そして太ももに見られる毛穴に一致して、褐色がかった硬く触れる丘疹(ぶつぶつ)が多数見られる病気です。
一個一個は直径1から3mmと細かいのですが、ざらざらとした感触があり、特に夏になって腕を出すスタイルの衣服を着るようになると、気になって受診される女性が多くなります。
男女ともに見られますが、女性の方が気にするためか、受診するのは圧倒的に女性が多い病気です。
小児期から発症し、思春期に目立ってきます。教科書には、年齢が上がってくると自然に消えてゆくと書いてありますが、
やや目立たなくはなってきますが完全には消えないことが多いようです。
原因は不明ですが、家族内で見られることも多く、優性遺伝が考えられています。
毛孔性苔癬は毛穴の出口が広がっていて、
そこに褐色の角質が充満している状態がその本態ですから、治療は角質を溶解させるサリチル酸ワセリンや尿素軟膏を塗る治療が行われてきましたが、
なかなか満足できる効果は現れませんでした。
我々治療する立場の皮膚科医も、見た目だけの問題で、痛くも痒くもないことから、あまり積極的な治療を行ってこなかったというのが正直なところです。
ただ最近になって、ニキビの始まりの症状であるコメド
(これも毛穴の出口に角質が溜まって起ります)にケミカルピーリングが効果的であることが
わかり広く行われていますが、そのケミカルピーリングを毛孔性苔癬に応用してかなりの効果があがっています。
さらには、毛孔性苔癬では角質とともにねじれた状態の毛が毛穴のなかに詰まっていますので、
その毛の黒色をターゲットとしたアレキサンドライトレーザーを照射することにより、毛と角質を同時に処理することができるようになり、高い効果が得られるようになりました。
これまで半分ほったらかしであった毛孔性苔癬の治療は大きく前進したといえます。
カテゴリ: 肌の悩みと治療 川島眞 先生