■シワの種類は主に3つ。それぞれ原因が異なる
私たちが一般に「シワ」と呼ぶ肌のお悩みは、表情筋の動きに合わせて顔の表面にできる溝や筋が、肌の弾力低下によって元に戻りにくくなった状態を指します。また顔にシワができる原因によって、シワには主に3つの種類があります。
1.表皮型のシワ
一般に「乾燥ジワ」といわれますが、「ちりめんジワ」「小ジワ」などとも呼ばれます。乾燥ジワは主に目尻や目の下などにできやすく、原因は名前の通り皮膚の乾燥です。乾燥ジワができやすい目の周りは顔の中でも特に皮膚の薄い部分で、空気の乾きだけではなく疲れやストレスなど、体調や内面からの影響も受けやすい点が特徴です。
2.表情筋によるシワ
笑顔や険しい顔つきになるときは表情筋の動きが大きくなり、その影響を長年受けることで額や眉間、目尻などにできやすい深く大きなシワです。表情ジワができるとなかなか改善が難しいだけでなく、加齢の影響を受けてさらに深くなりやすいため注意が必要です。
3.加齢による真皮型のシワ
加齢によって真皮の弾力繊維などがおとろえることが原因でできてしまう深いシワです。加齢に伴って起こりやすくなる「光老化」が大きな要因とされており、具体的には紫外線の悪影響を長い間受け続けることで、真皮内で弾力を保っているコラーゲンやエラスチンが減少してしまうことが直接的な原因ではないかといわれています。
■シワ対策の美容液選びは、自分のシワを知ることから
先にご紹介した通り、シワは主に3つの種類に分けられます。それらの見分け方ですが、以下の例をご参考にしてください。
・表皮ジワ(小ジワ、乾燥ジワ)…薄く小さなシワが一部分に密集してできていて、化粧水や乳液でお手入れすると少し目立たなくなるようなら「表皮ジワ(乾燥ジワ)」であることが多いでしょう。
・表情筋によるシワ…子どものころから同じ場所にシワがある場合や、特に額の横ジワや眉間の縦ジワ、右目と左目の間の横ジワなどが若いころから気になるようなら「表情ジワ」の可能性があります。若くてまだ肌にハリがあるのに笑顔になると目尻にだけシワができるというケースも、表情ジワかもしれません。
・真皮型の加齢によるシワ…一定の年齢になって急に出てきた、基礎化粧品を塗っても目立たなくならないシワやほうれい線に沿ってできる大きなシワ、首が細くたるみなどはまったくないのに出てしまう首のシワなどは、加齢によるシワを疑う必要があるかもしれません。
シワに良いとされる美容液は数多くありますが、含まれる美容成分はさまざまです。ご自分のシワの種類をある程度把握し、それに合った成分が配合されたものを選びましょう。
ちなみに、市販の美容液で改善できるシワの種類は「表皮ジワ」だけ、という見解もあります。なぜなら表皮ジワに最も有効な対策は「保湿」であり、化粧品や医薬部外品でできることの最たるものは「表皮(角質層)までの保湿」だからです。
しかし、最近は真皮型のシワに効果的と謳った医薬部外品の美容液も発売されています。次の項目では、それらも含めたシワ対策を謳う美容液の成分とそのはたらきについてみていきましょう。
■「シワに良い」美容液、成分で選ぶなら?
1.表皮ジワ(乾燥ジワ)におすすめの美容液成分
表皮ジワを真皮ジワまで進行させないようにするための対策の第一歩は「保湿」に限ります。まずは、保湿成分が多く配合されている美容液を選びましょう。表皮ジワのお悩みにおすすめの保湿成分といえば「セラミド」、「コラーゲン」、「ヒアルロン酸」、そして近年話題の「プロテオグリカン」などが挙げられます。コラーゲンやヒアルロン酸主体の美容液は比較的リーズナブルですが、セラミド(中でもヒト型セラミド)やプロテオグリカンが配合されると美容液の価格帯も上がる傾向があります。現在の乾燥を改善してシワ対策をしながら、将来的に真皮ジワに進行することを予防したい場合は、セラミドやプロテオグリカンなどより高い保湿効果をもつ成分を含む美容液を選ぶとよいでしょう。
2.表情ジワ、真皮型シワは美容液でケアできる?
これまでは「老化や表情で深く刻まれたシワは、化粧品での改善は難しい」といわれてきました。実際に、「シワ対策に美容液は使っているけれど、改善は期待しない。主な目的は癒しや安心感」という方も少なくなかったはずです。
しかし最近、「深く刻まれたシワにも効能が認められた成分を配合」と広告を打っている、医薬部外品の部分用美容液がいくつか発売されています。特に、厚労省が認可した成分といわれると、その効果に期待せざるを得ませんね。
実際に、各世代のさまざまな方の協力を得ながら多くの試験を行って、見合った結果が出なければ認可成分として商品化はできないものです。ゆえに、それらの製品も認可されるに値する試験結果が得られたのでしょう。
ただ意識したいのは、「すべての方に同様に試験通りの効果があるとはいいきれない」点です。どのような成分にもいえることですが、効能やその実感レベルにはある程度の個人差があります。同じ美容液を同じ期間継続使用して「とても効果があった」と感じる場合もあれば「期待外れだった」と思ってしまうこともあるかもしれません。
したがって、深く刻まれたシワのお悩みをきちんと改善できる方法としては、現状でもやはり「美容医療」を選択することが最も確実といえるでしょう。
■シワのお悩み対策に、美容液をどう取り入れるか
シワの種類によって、対策として使う美容液の選び方が異なることが分かりました。ここでは、シワ対策に美容液を効果的に取り入れる方法をご紹介します。
1.紫外線対策は年間を通して
加齢による深いシワの大きな要因が「長年蓄積された紫外線の悪影響(光老化)」であると先に少し説明しましたが、シワを作らないためにはシワが気にならないうちから継続して紫外線を予防することが何より大切でしょう。もし表皮ジワ対策に保湿美容液などを使うなら、朝用の紫外線防止効果がプラスされたものを選べば保湿とUVカットが1度にできて合理的です。
2.真皮ジワ対策には美容液と美容医療の併用も
すでに真皮ジワが気になっているなら、最も有効な対策は美容医療を受けることです。ただし、シワ治療がうまくいったからといって日常のケアが不要になるわけではありません。むしろ治療を終え、元通りの生活を始めてからが肝心なのです。美容医療は実際の治療のほか、継続的なメンテナンスを要するものもありますが、それ以外の期間には予防のケアをするに越したことはありません。治療したからと安心せず、気になる部分を美容液などできちんとお手入れすることは忘れずに
■おわりに
この記事では、シワ対策に美容液を選ぶポイントについてご紹介しました。
早期の小ジワには乾燥対策をメインにした美容液を選び、シワが深くなってしまったら見合った効能を謳う美容液に切り替えるとよいでしょう。ただ、深いシワの改善は化粧品や医薬部外品では難しいこともあるため、その場合は美容医療による改善策を検討することを選択肢の1つに加えてみる方法もあります。