化粧品でシミ対策はできる?シミのカバー法や美白化粧品の効果をチェック

「メイクでシミをカバーしたいけれど、厚化粧はイヤ」という方は多いはず。隠したくても隠し切れないシミのお悩みは、早くなんとかしたいものですね。また、美白スキンケアの効果に疑問を持ったまま、ただなんとなく使っているという方も少なくないのでは?
そこでこの記事では「化粧品でできるシミ対策」について、まとめてご紹介。メイクでのカバー法や美白スキンケアの有効性などから、さらに一歩進んだ「治療でシミを消す方法」まで知ることができます。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 院長
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 昭和大学病院皮膚科兼任講師
  • 日本抗加齢医学会認定 抗加齢医学専門医
佐治 なぎさ先生

■メイクでシミを自然にカバーするには

まず、メイクアップでシミを消す(隠す)方法からご紹介しましょう。シミをカバーするというと、高いカバー力のあるファンデーションを顔全体に塗ることをまず想像する方も多いかもしれません。しかし、顔全体を厚い化粧膜でカバーすると文字通り「厚化粧」になってしまい、いかにも何かを隠しているような不自然さがありありと出てしまいます。
肌のシミをナチュラルに隠したいときは、全体のファンデーションは薄めにつけながら部分的なシミや色ムラを隠す「コンシーラー」を使う方法がおすすめ。ファンデーション同様、コンシーラーもご自分の肌色に合ったものを選択し、素肌感を損なわずにしっかりシミをカバーしましょう。ファンデーションだけでシミを隠していて厚塗り感にお悩みだった方も、コンシーラーと薄づきのファンデーションに切り替えるだけで、見違えるような素肌感を取り戻せるかもしれません。
また、ファンデーションを日常的に使うことは、日々浴びてしまう紫外線を防ぐことにもつながります。シミが気になる方に限らず、お肌のためには紫外線を直接当てないようにすることが鉄則。シミをこれ以上増やさないためにもメイクは面倒と言わず、毎日の日焼け対策を「当たり前のもの」と考えたほうが良いでしょう。

■スキンケア化粧品でシミに有効な成分とは?

つぎは、シミとスキンケア化粧品の関係について取りあげましょう。「美白スキンケア」といわれる化粧品・薬用化粧品(医薬部外品)の成分でシミに有効とされているものには、いくつかの種類があります。ここでは、美白化粧品に含まれるシミへの有効成分についてご紹介します。

【1.シミ予防に効果的とされている成分】
おもにメラニンの生成を抑え、シミが新たに作られることを防げるとされるものです。

・アルブチン
梨・コケモモなどの果実に含まれる成分です。

・リノール酸
植物油やナッツ類に多く含まれ、血中の悪玉コレステロールを減らすことでも知られている成分です。

・エラグ酸
野菜や果物に含まれる抗酸化成分です。

・カモミラET
植物のカミツレ(カモミール)から抽出される成分です。

・プラセンタエキス
おもに動物の胎盤から抽出される成分です。

など

これらに確認されている作用は、細胞内でメラニン色素を作っている「メラノサイト」という器官に作用し、メラニン生成をブロックするはたらきが主体です。基本的には、「シミができるのを未然に予防する」ことが期待できるものと考えるとよいでしょう。

【2.できてしまったシミにも有効性が確認されている成分】
ここでご紹介するのは、すでにシミになってしまった部分にも何らかの有効性があると確認できている成分です。

・ビタミンC誘導体
変質しやすいビタミンCを安定化させ、角質層に浸透してからビタミンCに変化するよう改良した成分です。水溶性ビタミンC誘導体と脂溶性ビタミンC誘導体の2つに分けられ、それぞれに長所と欠点があります。しかし最近では、水溶性ビタミンC誘導体の「即効性」と、脂溶性ビタミンC誘導体の「角質層への浸透力」を兼ね備えた「APPS(アプレシエ)」という新型ビタミンC誘導体も実用化されています。

・ハイドロキノン
麦芽やコーヒーなどに含まれ、酸化防止剤や写真の現像に必要な還元剤として用いられてきた成分です。強い漂白作用を持ち、以前は医薬品にのみ配合が認められていましたが、現在では低濃度であれば化粧品への配合も認められています。より効果を得たい方は、皮膚科での診断後に処方される高濃度に配合された製品がお奨めです。

これらの2成分は、メラニンの生成を抑えるとともに、シミになった部分の色素を薄くする「還元作用」もあるとされています。いずれの成分も配合濃度が高いと肌にとって刺激になる可能性があるため、お肌が敏感な方は慎重に試してから使用を検討する必要があります。

■おもに化粧品にできるのは「シミを隠すことと予防」

メイクアップ化粧品は年々進化していますので、今では素肌に近い質感を演出しながらシミをまるで無かったようにカバーできるものも増えています。深刻なシミのお悩みをお持ちの方でも、お化粧することでツルンとした美白肌に見せられますから、お悩みがある方こそ積極的にメイクを楽しむことをおすすめします。
また、スキンケア品では「美白」や「シミに良い」とうたった製品も多くあります。しかし基本的には、「何年か経ってから発生するかもしれないシミを予防できる」ものと考えるとよいでしょう。「使わないよりは、使ったほうが後々良い」ぐらいの気持ちで、根気良く付き合っていくのが最善策といえそうですね。
化粧品の成分は、身体に目立った作用を及ぼさないか、作用しても緩和な程度までの範囲内で配合することが薬機法で定められています。もし、使ってすぐに効果があらわれるのであれば「医薬品」扱いとなるはずですので、化粧品に「肌につければ効き目を感じられる」というものは存在しません。
ただ、美白有効成分といわれる物質には、同時に抗酸化作用や抗炎症作用を持っているものも多いのです。日ごろから肌の炎症や酸化を防ぐ心がけは、長い目で見れば老化防止にもつながります。若々しい肌を末長く保つためにも、シミに良いとされる化粧品を使い続けることで10年・20年先に「使っていてよかった」と思える可能性はあるでしょう。
でも、どれだけ質の良い美白化粧品を使っていても、日常の紫外線対策を同時におこなっていなければシミはできやすくなってしまいます。シミ予防を心がけているからと油断せず、年間を通して日焼け止めや日傘などの活用でしっかりUVカットをしましょう。また物理的なUVカット対策にプラスして、紫外線を浴びた後の影響を受けにくくする「飲む日焼け止め」を併用するとより効果的です。

■消えないシミは「治す」方法で対処

基本的に、化粧品の役割はシミを「隠す」「増やさない」「予防する」ことにとどまるため、すでに気になり始めてしまったシミを「消す」「治す」ことはできません。
化粧品では消せないシミを消したい、治したいと考えているなら、クリニックでの治療を選択する方法があります。シミの治療は大がかりな手術などを伴わないため、美容医療のなかでも心理的な抵抗が低く、安全性も高めです。

【1.ケミカルピーリング】
お肌表面の古くなった角質をおだやかに除去し、皮膚のターンオーバー(角質細胞の生まれ変わり)を正常に整えることで表皮にできたシミを取り除いていく治療法です。がんこなニキビ跡や、急な日焼けのあとにできてしまったシミなどを徐々に薄くしていくには適した方法です。また、イオン導入との併用でさらに効果を高めることができます。特に、レーザーなどの治療法が選択しにくい肝斑の治療は、ケミカルピーリングとトラネキサム酸のイオン導入を組み合わせる方法でおもに行われています。

【2.レーザー照射によるシミ治療】
皮膚のメラニン色素だけに反応するレーザーを照射し、シミを薄くする治療法です。治療後は炎症後色素沈着と呼ばれる状態を経てからシミへの効果が出るため、効果の実感までは1~3か月ほどかかる場合もあります。しかし、個人差はあるものの効果的にシミを薄くでき、肌を傷つけないため安全性も比較的高い方法です。

美容医療でシミを治す際には、必ず事前にしっかりカウンセリングと診断をおこなって、できたシミのタイプや患者さんの体質などに最適な治療法を医師が提案します。またシミ治療は、美容医療のなかでは治療費もそれほど高額にならない傾向にあります。治療で顔や体質が変化してしまうリスクもきわめて低いため、解決したいシミのお悩みがあればお気軽にクリニックを訪ねてみてください。

■おわりに

この記事では、シミをメイクできれいに隠す方法やスキンケアによる美白の有効性、そしてさらに効果的なシミ対策についてご紹介しました。化粧品で防ぎきれないシミは美容医療で治すことができますが、最優先したいシミ対策はなんといっても紫外線を防ぐことです。多くのシミは紫外線の悪影響が積み重なって現れるものですし、先天性のシミも紫外線を強く浴びればさらに濃くなってしまいます。UVカットと美白化粧品で普段からシミを予防し、それでもシミのお悩み解消がむずかしければクリニックで治すことを検討してみてはいかがでしょうか。

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