シワ取りテープ

シワ取りテープは便利?危険? 効果的で安全な使い方を知ろう

「実はシワを伸ばすために、テープを貼ってます」と、テレビで有名な芸能人の方が話しているのを聞いたことがある方もいるでしょう。「いつもきれいでいるのに、陰でそんな努力をしているなんて!」と、逆に好感度が上がったという声も聞かれますね。 最近では美容アイテムとして市販もされている、通称「シワ取りテープ」。実際にシワを目立たなくさせるには、どのように使えばよいのでしょうか。 この記事では、シワを隠すためにテープを正しく使う方法や、テープに頼らずシワを改善できる方法などについてご紹介します。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 院長
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 昭和大学病院皮膚科兼任講師
  • 日本抗加齢医学会認定 抗加齢医学専門医
佐治 なぎさ先生

■シワ取りテープの基本的な使い方とは?

シワ取りテープと呼ばれる美容用テープの使い方には、おもに2通りの方法があります。

1.シワに直接テープを貼って均一にする方法
専用のテープをほうれい線などのシワ部分に直接貼り、均一に整った状態に見えるよう伸ばして癖をつける方法です。一時的にシワが伸びた状態になるよう、就寝時などに貼って効果が期待できる朝には剥がす方法が一般的です。
裏紙を剥がして、粘着成分が付いた面をシワ部分に貼って使うケースが多く、貼る際にはシワを指で引っ張って伸ばした状態にし、その上にぴたっと貼って使用するものが多いようです。

2.シワ以外の部分にテープを貼り、そこから引っ張ってシワを伸ばす方法
目尻のシワなどによく用いられる方法で、目尻のシワの場合にはシワの斜め上にあたるこめかみの目立たない部分にテープを貼り、皮膚を上方向に引っ張って吊り上げた状態で固定します。これによってシワが物理的に伸ばされ、目立たなく見える方法です。
裏紙を剥がして鏡を見ながらシワが最もよく伸びる位置を確かめ、引っ張りながらその状態が保たれるよう貼ります。テープを貼る部分はフェイスラインなどの目立たない箇所にすることが不自然に見せないコツですが、テープの上からメイクをすれば隠せるものも多いです。

3.医療用のサージカルテープは使って大丈夫?
1と2でご紹介した使い方どちらのケースでも、市販の化粧品として使えるテープではなく、医療用の「サージカルテープ」が使えると一時話題になりました。確かに、サージカルテープは皮膚に直接貼れるようにできていますし、固定する力もある程度はあります。
しかし、できればシワ伸ばしの目的でテープを使うときには、化粧品売り場に売っている専用のものを使うことをおすすめします。「サージカル」という単語は、もともと「外科用の」「手術用の」という意味を持っています。そこから考えても、健康な人が日常的にお顔に貼って過ごすことなどは、おそらく想定されていないでしょう。
サージカルテープは、あくまで医療行為など緊急用として使用するためのものと考え、本来の目的以外で使うことは避けましょう。

■シワによってはテープが効かないことがある。逆にリスクを招くことも

テープを貼って一時的にでもシワが伸びることを実際に体験すると、やみつきになって常用してしまうという方もいるかもしれません。しかし、シワ取りテープの効能にも個人差があります。
たとえば、シワの状態によっても伸ばせる場合と伸ばせない場合があるのです。

【小ジワは、逆にテープで伸ばすのが難しい】
まず、乾燥などが原因の小ジワ(目元のいわゆる「ちりめんジワ」など)は、テープでうまく伸ばすことが難しいシワの1つです。テープで一時的に伸ばせるシワは、表情筋の癖などで付いてしまったシワが中心。ちりめんジワなどは無理に伸ばすと、伸びないばかりか妙な方向に癖がついてしまうこともあるので注意が必要です。
乾燥による小ジワは、化粧品(医薬部外品)などに目立たなくできる効果が実証されているものもあります。そちらを根気よく使うなどして、しっかり対策したほうがよいでしょう。

【加齢により深く刻まれたシワも、テープで伸ばしにくい】
すでに深く刻まれてしまっているシワは、どんなにテープで伸ばしても目立たなくすることは難しいかもしれません。真皮まで刻まれてしまったシワを、物理的な方法で目立たなくすることは至難の業でしょう。メイクで隠す方法である程度カバーすることはできるかもしれませんが、限界を感じた時には美容医療などで改善する手段を検討するのも一案。

【テープに頼ると、ちょっと怖いこんなリスクも!】
テープで実際にシワが目立たなくなる現象を体験すると、ちょっとした感動を覚えるはずです。「こんなに簡単にシワを隠せるなんて!」と、日々テープを使ってしまっているという方もいるのでは?
しかし、テープでシワを伸ばした状態が、そのまま癖になってシワが改善されるような虫の好い話はありません。あくまで効果は一時的なものですし、剥がせば元に戻ることは確かです。また、貼り方次第では貼っている間の表情が妙に不自然に見える可能性もあります。鏡を見て、「なんだか今日はずっとびっくりしたような顔をしているな」と思ったら、朝に貼ったテープが原因だった…… なんてこともあるかも。
また、テープを長時間貼ることで皮膚が伸びてしまうと、シワが治らないだけでなく皮膚のたるみを加速させてしまうことにもなりかねません。若々しく見せるためにシワ取りテープを使っていたのに、逆に老け顔になってしまっては困りますね。
それに、テープを貼ったり剥がしたりし続けることが刺激になり、肌が紫外線や外部刺激の影響を受けやすくなる可能性もあります。色素沈着が発生しやすくなったり、皮膚内部のはたらきが衰えて弾力が失われてしまったりしたら大変。
シワ取りテープは写真撮影などの短時間に限った一時しのぎと考え、常用することはやはり避けたほうが良さそうですね。

■テープに頼り続けるより、シワを治す方法も取り入れて

ずっとシワ取りテープに頼ることは、意外なリスクをもたらす可能性があることがわかりました。うまく使えば感動的な効果が得られるシワ取りテープですが、やはり使い過ぎは良くないのですね。
テープでは太刀打ちできない深いシワのお悩みには、やはり美容クリニックで治療する方法を考えることも手でしょう。ただ、「シワを伸ばす手術の話を聞いたことがあり、怖いしお金はかかるしで病院に行くなんて考えられなくなった」という方も少なくないかもしれません。
しかし、最近はシワの改善治療もだいぶスタイルが変化してきています。まず、入院や手術をしなくても、多くのシワは改善できるようになっているという点があります。美容皮膚科で取り入れられている照射型のシワ治療法は、特殊な光を気になる部分の肌に当てるだけと簡単ですし刺激も最小限です。また、「ボトックス」や「ヒアルロン酸注入」など、注射でシワを目立たなくできる治療法も、安全性が比較的高く費用が高価にならない点で、かなり一般化しています。
いずれの治療法も通院で施術を受けられ、肌ダメージも少なく済むため手軽な上に費用もかなり抑えられます。数か月に1度お手入れをする感覚で、通院を続けて生き生きとした表情を保つことも、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

■おわりに

この記事では、シワを伸ばして目立たなくできると話題の「シワ取りテープ」についてくわしくご紹介しました。シワ取りテープとはいっても、使うことでシワが取れるものではない点には、少しがっかりしてしまった方もいるかもしれません。
しかし、テープで刺激を肌へ与え続けるよりも少ないダメージで、シワを確実に改善できる治療を選ぶこともできます。美容クリニックでは、肌タイプやお悩みなどをしっかりお伺いし、カウンセリングをきちんと行った上であなたのお肌やお悩みに合う最適な治療法をご提案しています。「シワは一時しのぎではなく、やはりしっかり治したほうがよい」と思い立った方なら、まずは1度クリニックへ相談に出向いてみることもおすすめですね。

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