肌のたるみに効果的な美顔器。たるみのタイプ別に選び方をご紹介

テレビの通販番組や街頭広告などで、さまざまな種類や方式の美顔器が紹介されています。それらの中には、「肌のたるみが引き締まる」という謳い文句を掲げたものも少なくありません。実際に、肌の頑固なたるみを美顔器で引き上げることはできるのでしょうか。
この記事では、美顔器のしくみやその作用が肌に与える影響、実際の効果などについてご紹介します。肌のために美顔器を使い始めようと考えている方は、ぜひご参考にしてください。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■美顔器の種類と方式

美顔器には実に多くの種類・方式があり、それぞれが肌に与える作用も異なります。ここでは、主に多く出回っている美顔器の代表的な種類や方式・作用について、ご紹介します。

【1.超音波美顔器】
人には聞き取れないレベルの微細な音の振動(超音波)を肌に与えることにより、血行やリンパの流れを促進します。肌の代謝を促し、皮膚が表情の変化などでは実現できない運動を促進するため、ハリのある健やかな肌を保てるとされています。
むくみの改善やたるみの解消、シワの予防などに効果的と謳って販売されているものがほとんどです。以前は大きなボウルに水を満たして顔を浸し、水を通して超音波刺激を与える形式のものが主流でした。しかし現在では水を使用せず、ハンディタイプの機器を直接肌に当てる手軽な使用法のものがほとんどになっています。

【2.イオン導入・導出型美顔器】
化粧水や美容液などの有効成分を微弱電流によってイオン化し、肌の奥深くまで届けることで有効成分の効果を最大限に引き出します。イオン導入によって、従来の30倍から100倍ほどまでの浸透効果が得られるとされています。
肌のターンオーバーを促してくすみやニキビ跡を改善したり、美白作用をもたらしたりできるといわれています。また、肌のキメを整えてシワの予防にも役立つとされています。ただし、あまり分子の大きい成分は浸透率を高めることが難しいため、コラーゲンやヒアルロン酸などの成分はイオン導入で効果を高められる可能性は低いとされています。
また、同じ原理を用いて肌表面の老廃物をイオン化させることで効果的に取り除く「イオン導出型美顔器」もあります。最近では、プラスとマイナスのスイッチ切り替えで、イオン導入とイオン導出の両方の機能を持たせたものも多くなっています。

【3.スチーム型美顔器】
大手家電メーカーなどからも発売されてヒット商品となったことで、よくご存じの方も多いでしょう。水を細かい蒸気にして肌に当てることで浸透させ、肌にうるおいを与えます。肌に直接特殊な作用を加えず、薬剤や化粧品も使用しないため肌質を問わずに使えることが特長。超音波式やイオン導入式など、別のタイプの美顔器と合わせて使用することもでき、それらの作用を高めることにも一役買ってくれる便利な存在です。
しかし、使用するのは水だけなので、使用直後に肌がうるおっていても水分が蒸発するまで放っておくと乾燥しやすくなる場合も。使用したらすぐ、スキンケア品でうるおいを補うことを忘れずに。

【4.EMS型美顔器】
筋肉を増やし、身体を引き締めるために用いられるEMS機器を基に、顔にもその効果を生かそうと生み出されました。表情筋の運動を効果的に促進し、リフトアップや小顔効果をもたらすとされています。
以前は電極パッドを貼り付けて使用するタイプが多かったのですが、最近ではハンディタイプでヘッドを肌に当てるだけで使用できるものも増えています。ただし、刺激を感じる使用感があるため、それが気になる人には薦めにくいというデメリットも。また、きちんと正しく使用しないと表情ジワをさらに深くしてしまう可能性も指摘されています。

【5.ローラー型美顔器】
水も電気も要らないため、最も手軽に毎日使える美顔器です。特殊な金属を含むローラーを備えたものもあり、主に血行を促進する効果が期待できます。リンパの流れも整えてくれるので、むくみを取って顔をスッキリ引き締めたいときには役立つでしょう。
使い方は、ローラー部分を肌の上でコロコロと転がすだけと簡単。価格が比較的手頃なものが多く、故障の心配も少ないためリーズナブルに肌のお手入れができます。ただし、肌荒れしている部分に使用すると刺激を与えてしまうため、肌トラブルが起きているときは使用を見合わせたほうが無難です。

【6.光美顔器】
肌に光を当てて、細胞を活性化させることで美肌に導く美顔器です。LEDを用いているものが主流で「フォトトリートメント」や「光ケア」などとも呼ばれます。LEDはその色によって波長が異なるため、色が違えば作用も変わります。たとえば赤色LEDには血行・リンパの流れを促してターンオーバーを正常に整えるはたらきがあり、青色LEDには殺菌作用があるとされています。
発熱を伴わない光のため刺激がなく、肌が敏感な方でも選びやすい点が特長。光の性質によって作用が異なりますから、ご自分のお悩みに合ったものを選ぶ必要があります。

■たるみの種類に応じた美顔器選びを

前の項目では、さまざまなタイプの美顔器とそれぞれが持つ効果についてご紹介しました。ここでは、たるみの種類によって選びたい美顔器のタイプをご紹介します。

【むくみ由来のたるみ…超音波美顔器・ローラー型美顔器】
むくみも、肌がたるむ大きな要因の1つです。超音波美顔器、ローラー型美顔器のいずれも、肌に適度に刺激を与えて血行やリンパの流れを促進するため、むくみによるたるみに効果的といえます。

【疲れやストレスによるたるみ…イオン導入美顔器】
疲労やストレスで肌の状態が良くない日が続き、たるみを感じてしまったときにはイオン導入を行ってケアしましょう。導入に使用する化粧水や美容液には、「ビタミンC誘導体」を含んだものを選ぶと最適です。肌荒れやニキビの予防もできますから、疲れ気味で肌が不調だな…と思ったときにはビタミンC誘導体をイオン導入!と、覚えておくとよいでしょう。

【ほうれい線周りやフェイスラインなど、筋肉のおとろえ由来のたるみ…EMS美顔器】
ほうれい線を境に頬のたるみを感じたり、フェイスラインの緩みが気になったりする場合は、表情筋がおとろえ気味かもしれません。EMS美顔器で筋肉を刺激し、ハリを取り戻しましょう。ただし、推奨された適正な使用法を守って使わないと逆に筋肉を疲れさせてしまうかもしれません。特に、早く引き締めたいからと使いすぎることは禁物です。

■美顔器だけでは改善できないたるみも。そんなときは

美顔器は、日頃の肌のお手入れの手助けとなり、ケアしている実感も得られるものです。とはいっても、美顔器の効果だけではたるみを根本的に解決するのが難しいこともあります。
お手入れで改善しきれないたるみのお悩みには、美容医療という選択肢も一考する余地があるでしょう。確実にたるみを治療できる有効な方法ですが、整形で顔立ちを変えてまで治そうという決心がつけられない方も多いでしょう。しかし、今では切らずにたるみを治せるリフトアップ治療が選べることをご存じでしょうか。
たとえば、レーザーを照射して肌の深部に熱を与え、顔全体を引き締める治療法や、高周波を照射して細胞を活性化させコラーゲンの産生を促す治療法などを選ぶことができます。切らずに治せて薬物投与もない画期的なたるみ治療法ですから、整形手術には抵抗があるという方でも検討しやすいでしょう。

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■おわりに

この記事では美顔器の種類と、たるみの原因別の効果的な選び方をご紹介しました。美顔器には高価なものも多く、ご自分のたるみのお悩みに合ったものを慎重に選んでこそ望んだ効果と確かな満足感が得られるものです。もし、美顔器では納得いく効果が得にくいほど深刻なお悩みをお持ちなら、美容医療でしっかりと治す方法も選択肢に加えてみるとよいかもしれません。

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