コラーゲン

コラーゲンはたるみをケアできる?効果的に取り入れる方法をご紹介

30代からの肌悩みの上位によく挙がるのが「たるみ」です。“たるみのケアならコラーゲン”というイメージから、コラーゲンが豊富とされる食べ物や化粧品を積極的に取り入れている人も多いと思います。
しかし、そんなコラーゲンがたるみにどのように作用するのかご存じでしょうか?この記事では、コラーゲンを効率よく取り入れながら、たるみの予防・改善に役立てるための活用術をご紹介します。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 院長
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 昭和大学病院皮膚科兼任講師
  • 日本抗加齢医学会認定 抗加齢医学専門医
佐治 なぎさ先生

■コラーゲンが不足すると肌はたるむ?

肌がたるむ原因は紫外線によるダメージや乾燥、姿勢の悪さなどさまざまですが、「コラーゲン不足」によって起こることもあります。
皮膚は表面から順に、表皮・真皮・皮下組織の3層からなっていますが、真皮の約70%を支えているのが「コラーゲン」という線維。肌のハリや弾力を生むコラーゲンが減少したり古くなったりすると、皮膚が重力に耐えられなくなり、たるみに繋がります。とくに40代以降になると、コラーゲンが皮膚で新しく作られることはほとんどなくなります。ただし皮膚だけでなく、骨や血管などにもコラーゲンは存在します。体内のコラーゲンは平均的な体重の女性で約3kgを占めており、健康的な身体を保つためにも欠かせないタンパク質の1種なのです。

■スキンケアの成分選びと同じくらい大切なのは「続けること」

肌のためにせっせとコラーゲンを摂取していても、いまいち効果を実感できないと思ったことはありませんか?実は、体内に取り入れたコラーゲンはそのまま吸収されるわけではありません。胃や腸でアミノ酸に分解されてから、身体の必要な場所で再びコラーゲンとして生まれ変わる必要があります。つまり、新しいコラーゲンを作り出す“もと”になるのです。そしてさまざまな栄養素と組み合わせることで、効率よくコラーゲンを生み出すことができます。コラーゲンは手羽先や鶏軟骨、牛すじの他、魚類では皮と身の間に豊富に含まれていますが、これらと合わせて積極的に摂りたい3つの栄養素が以下になります。

・ビタミンC
コラーゲンの合成に必要不可欠な成分がビタミンCです。未熟なコラーゲンにビタミンCの力を加えることで、三重のらせん構造を作り上げ働きを高めてくれます。さらに、コラーゲンの生成量を増やしてくれる効果も期待できます。ビタミンCは、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜や、キウイや柿などの果物、イモ類に多く含まれています。これらと一緒に摂取することで、肌の弾力やハリを取り戻すことができ、たるみにも有効です。ビタミンCとコラーゲンは、常にセットで摂ることを意識するといいでしょう。

・トリプトファン
コラーゲンは数種類のアミノ酸から作られていますが、私たちの生命活動にとって必要な必須アミノ酸の一種「トリプトファン」だけが含まれていません。コラーゲンをスムーズに再合成させるためにも、このトリプトファンも一緒に摂ることをおすすめします。トリプトファンは、動物性タンパク質やご飯・パンなどの穀類、乳製品などに含まれます。

・エラスチン
エラスチンはコラーゲンと同じ真皮部分に存在し、コラーゲンを支えています。また、コラーゲンの線維そのものを引き締める役割も担っているため、美肌のためには欠かせない栄養素の一つです。エラスチンは牛すじやモツ、丸ごと食べられる小魚などに含まれます。

さまざまな食材を紹介しましたが、実は1日に必要なコラーゲンは5,000~10,000mgと言われています。「食生活だけで補うのは大変」と感じる人は、サプリメントやドリンクで補給するのもいいでしょう。ただ、甘いものの摂りすぎには注意してください。糖とコラーゲンが結合する「糖化」によって、コラーゲンが持つ弾力性が損なわれてしまうからです。甘いものは食物繊維と一緒に摂ると、糖とコラーゲンの結合を抑えることができます。

■コラーゲン配合の化粧品、効果のほどは?

コラーゲンを配合した化粧品はたくさんありますが、肌に直接コラーゲンを塗ることにはどのような効果があるのでしょうか。実は、角質層に浸透する分子量は500ダルトン(分子の質量を表す単位)以下が目安。一般的なコラーゲン化粧品は、コラーゲンの合成を行う真皮層までは浸透することがないのです。ただ、コラーゲンにはシワの予防や乾燥から守る保湿効果、肌の水分を保ってくれる効果が期待できます。したがって、コラーゲン化粧品は乾燥が原因で起こるたるみの予防に役立ちます。
また、コラーゲンの生成をサポートする成分として、ビタミンC誘導体がおすすめです。コラーゲンにはビタミンCが必須とお伝えしましたが、そのビタミンCを安定させ、肌に吸収しやすいように改良したものがビタミンC誘導体です。「アスコルビン酸グルコシド型」や「リン酸アスコルビル型」、さらにアスコルビル型を進化させた「APPS(パルミチン酸リン酸型)」がありますが、抜群の浸透力を持つのがAPPSです。

■コラーゲンを最大限に活かす方法

真皮で古くなったコラーゲンは、酵素などによって2~6年という歳月をかけゆっくりと分解され、いずれ新しいものに置き換わります。
年齢を重ねるとともにコラーゲンの量は減っていきますが、反対に増加傾向にあるのが、コラーゲンを分解する「コラゲナーゼ」という酵素です。このダブルパンチで、シワやたるみが加速してしまうのです。これらの老化現象を少しでも遅らせるために、日頃の生活習慣やちょっとした意識が何より大切になってきます。ここでは、具体的に心がけたい3つのポイントをお伝えします。

・コラーゲンを生み出す鍵は“睡眠”にあり
食事やスキンケアよりダイレクトに肌に影響を与えるのが「睡眠」です。肌は、成長ホルモンが活発な就寝中に生まれ変わるからです。また日中は血液のほとんどが脳に集まり、肌にまでは栄養が行き渡りませんが、睡眠中は血液が体中に巡るため、栄養がスムーズに届くようになります。
とくにコラーゲンを効率的に作り出したいなら、眠りにつく1~2時間前にコラーゲンと先述した栄養素を同時に摂取しましょう。朝や昼では効果を発揮しにくいため、夕食にコラーゲンを増やすための食生活を心がけるといいかもしれません。
また、最低でも毎日6時間以上は寝ることや、睡眠時間を一定にするといった意識づけも大切です。

・紫外線の浴びすぎには要注意
紫外線はさまざまな肌トラブルの要因になりますが、たるみもその一つ。とくに肌内部に影響を及ぼす紫外線のA波(UV-A)が真皮にまで到達すると、コラーゲンは変質し、古いゴムのように硬く弾力のない線維に変わります。さらに、コラーゲンを分解する酵素が活性化することで、コラーゲンの量も減少します。紫外線は1年中降り注いでいるので、日焼け止めや日傘、帽子などをフル活用して、うっかり日焼けに気をつけましょう。

・肌の新陳代謝を高める
古いコラーゲンが分解、破壊された後は、肌のサイクルが正常であれば新しいコラーゲンが生まれます。一方、肌の新陳代謝が弱まると、古いコラーゲンが肌の表面に蓄積され続けるという悪循環に陥ってしまいます。
新陳代謝が衰える原因として、紫外線や乾燥などの外的刺激の他にも、女性ホルモンの減少や血行不良などが挙げられますが、生活習慣が関わっているケースがほとんどです。肌がくすんでいる人や毛穴が広がって目立つ人、肌を触るとゴワゴワする人などは、新陳代謝が低下しているサインかもしれません。
まずは十分な睡眠をとり、バランスのとれた食生活、適度な運動などを心がけましょう。日々の正しい積み重ねが、肌の新陳代謝を高めてくれます。

■おわりに

肌をたるませないためのコラーゲンの活かし方についてご紹介してきました。生活習慣でもたるみを予防することはできますが、美容クリニックでより本格的なたるみケアを実現することもできます。コラーゲンは必然的に減少していくものですから、肌で効率よく増やすことを意識し、いつまでも若々しい肌を保ちましょう。

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