30代半ばから感じ始める毛穴のたるみ。早めの対策が何よりのカギ

肌にたるみを感じると、年を取ったな~…と実感してしまうもの。頬などが目に見えてたるんで来ることはなくても、「毛穴のたるみ」にはなんとなく覚えがあるという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、毛穴のたるみを効果的に防ぐための対策についてご紹介します。鏡を見るたびに毛穴を気にしてしまう人も、今はまだ気にならないけれどこの先を考えて早めに対策を始めたい人も、ぜひご参考にしてください。

この記事の監修ドクター

  • イデリア スキンクリニック代官山 前院長
  • 2018年6月より まみ皮膚科クリニック(水戸市) 院長
  • 日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
千葉 真美先生

■「毛穴がたるむ」って、どんな状態?主な原因は?

毛穴のたるみは「涙型毛穴」「縦長毛穴」とも呼ばれ、初めは頬の鼻筋に近い部分やほうれい線の周辺から起こりやすいといわれています。小鼻や額に多い、皮脂で大きく丸く広がった毛穴とは異なり、毛穴のひとつひとつが肌のキメに沿って細長い楕円形に見えていることが特徴です。「それなら私にもあるかも…!」と思った人もいるのではないでしょうか。
毛穴がたるんでしまう主な原因は、肌が水分不足で乾燥し、ハリが失われてしまうことといわれます。また、肌の水分が不足する要因としては、加齢や紫外線の影響によって真皮の弾力保持機能が衰えることが挙げられます。具体的には、肌内部でコラーゲンを合成する力が乾燥や加齢のために弱まってしまうことや、同じく肌の弾力に関係するエラスチンという成分、水分保持に関わるヒアルロン酸などが減少することで、真皮の部分が緩んでしまうのです。
肌のハリが失われると、そのまま肌の表面が重力にしたがって次第に下がってしまいます。これが最終的には肌全体のたるみにつながりますが、毛穴のたるみはその前兆のような状態とお考えください。毛穴のたるみがさらに進行すると、細長くなった毛穴がつながって線状に見える、小じわによく似た「帯状毛穴」になってしまいます。また、たるみ毛穴から帯状毛穴に進行してしまった場合は、肌表面の乾燥による肌荒れも同時に起こしているケースがよく見受けられます。

■肌のたるみは、気づかないうちに始まっているって本当?

肌のたるみは、目に見える変化がなくても始まっていることがあります。それまで全く実感がなくても、ある日鏡を見ると突然毛穴の緩みに気づいてしまうことも。ぞっとしてしまうかもしれませんが、知らずに放っておいてあとから悩みを増やしてしまうよりは、あらかじめ知っておき進行をくい止める対策を考えておくことが大切でしょう。
以下に、「たるみ毛穴」があるかチェックできる主な方法をご紹介します。
・皮脂対策中心の毛穴ケアを行っても、効果があまり感じられなくなった
・小鼻や額より、頬の毛穴が目立ってきた
・髪をハーフアップなどにして頭の上で結ぶと、肌にハリが出て見える
これらに思い当たる点があるなら、たるみ毛穴が始まっているかもしれません。実際に、毛穴のたるみが上記のような形ではっきりとあらわれる年代は、30代半ばから後半ごろ以降といわれています。

■たるみ毛穴対策・スキンケア編

たるみ毛穴を感じ始めたら、スキンケアの方法を変えてみよう!とまず考える人は多いでしょう。基礎化粧品は基本的に肌表面の角質層までにしか浸透しないため、その奥にある真皮への効果はあまり期待できません。ただし、保湿ケアをして肌荒れを防ぐことでたるみ毛穴から帯状毛穴への進行は抑えられる可能性があります。肌のキメを整え、角質層にも水分をしっかり補うお手入れを心がけましょう。また、肌内部に働きかけてコラーゲンの生成を助けるとされている「レチノール(ビタミンA)」や「ビタミンC」など、エイジングケア効果が期待される成分にも気を配って基礎化粧品選びをしてみるとよいでしょう。

■たるみ毛穴対策・メイク編

スキンケアに気をつけることはもちろんですが、今目立っている毛穴をメイクでカバーする方法も取り入れてみましょう。ファンデーションをつける前に、毛穴が気になる部分にだけ使える毛穴カバー用の化粧下地を取り入れると、ファンデーションを厚塗りしなくても自然に均一な肌に見せてくれます。
また、毛穴が気になるからとファンデーションを多くつけすぎることは禁物です。一部分にファンデーションが固まってついてしまうと、毛穴の部分に落ち込んでしまい逆に凸凹を目立たせる「毛穴落ち」という状態になることがあります。そのうえ、化粧崩れを早めてしまいファンデーションが落ちた部分の毛穴が見えてしまうことも。ベースメイクはできるだけ厚塗りせず、化粧直しをまめに行うことで上手になめらかな肌の質感を保ちましょう。

■たるみ毛穴対策・マッサージ編

肌のハリが失われる原因のひとつとしては、血行不良も挙げられます。マッサージを取り入れて血行やリンパの流れを良くし、肌のリフトアップにつなげましょう。肌に負担をかけないよう力はできるだけ弱めに、なでるようにマッサージするのがポイントです。コールドクリームやマッサージ用クリームなどを使って、肌を直接摩擦しないよう気をつけましょう。
また、耳たぶを手で持ってぐるぐる回すことで顔全体のリンパの流れを良くする効果が期待できます。血流やリンパのめぐりを良くすることによりデトックス作用につながり、肌のくすみも改善できるかもしれません。
また、頭皮をマッサージすることも肌のリフトアップ効果が期待できるといわれています。肌表面だけではなく、頭皮の血行不良も放っておけば肌がくすんだり、下がって見えたりすることにつながります。頭の側面の耳上あたりに両手のひらを当て、頭皮と一緒に顔全体を引き上げるようなつもりで、ぐっと上に引き上げる動作を何度か行ってみましょう。簡単ですが、実際にやってみるとかなり気持ちの良いマッサージなので、楽しく続けられるのではないでしょうか。

■たるみ毛穴対策・食事編

これまで、スキンケアやマッサージなど外から働きかけるお手入れを紹介してきましたが、内側から健康な皮膚を作るための栄養を取り入れることも大切です。食生活を見直すことで、生き生きとした肌を復活させる手助けとなるでしょう。
まずは、皮膚そのものを構成する成分である、良質なたんぱく質をしっかり摂るようにしましょう。赤身の肉や青身の魚など、たんぱく質と同時に良質な動物性脂肪をバランスよく摂れるものがよいでしょう。女性ホルモンに似た成分を含み、美肌に効果的とされる大豆製品もおすすめです。
また、緑黄色野菜も一緒に摂ることで、ビタミンや抗酸化成分が体内でのコラーゲン生成を促進してくれます。要は、肉や魚や卵・野菜・主食をまんべんなく適量摂るバランスのとれた食生活が、何より美肌にも良いといえるでしょう。

■たるみ毛穴対策・生活編

日頃の生活習慣が、知らず知らずのうちに肌の弾力を奪ってしまっているとしたら残念ですね。早めに改善して、美肌を保てる生活に変えていきましょう。
まず、寝不足は美肌の大敵と昔から言われるのは、睡眠不足は血行不良と直結しているためです。また、成長ホルモンは眠っている時間帯に分泌されるため、この時間に起きていると分泌が乱れてしまいます。夜更かしや深酒をした翌日、急な肌荒れや肌のくすみに驚くようになったら、たるみ毛穴が引き起こされるサインかもしれません。成長ホルモンによって美肌が作られるといわれる22時~2時頃までには眠るようにし、睡眠環境を整えて良質な眠りを心がけましょう。
また、喫煙の習慣は慢性的な血行不良を引き起こします。そのため、たばこを吸う人は肌の老化スピードも速いといわれますから、可能であれば改めるのがベストでしょう。

■おわりに

たるみ毛穴の予防法と聞き、スキンケアやメイクの方法を変えることを考える人は多いはずです。しかし、食生活や日々の生活習慣も美肌維持につながる大きな要素です。ストレスや寝不足、偏食や喫煙などは健康な皮膚を作る機能を乱してしまうもの。日常生活ですぐにできる対策をさっそく取り入れ、たるみ毛穴が気にならない毎日をめざしてみましょう。
それでも改善できない毛穴のたるみには、美容皮膚科等のクリニックで治療する方法もあります。年令を重ねてしまってからでは、セルフケアの効果は出にくくなってしまうことも。最終手段と重く考えず、まずは気軽に相談して適切なケア方法の検討からでも始めてみるとよいでしょう。もちろん、身近な改善対策との併用がより効果的であることは言うまでもありません。

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